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2016/10/12

菅野 直人

第一回 軍事学入門~タブーから、未来へ生きるためのヒントへ~

最近では昔ほどには「軍事アレルギー」が無くなったため、注目されはじめている「軍事学」。

しかし具体的に何を指すのか、その入口はどこなのか、明確に答えられる人はあまりいません。今回はその入門的な部分として「軍事学とは何か?」をご説明します。

長期間アングラ化されていた軍事学

そもそも日本における軍事学は、あまりにも悲惨な結果で終わった太平洋戦争の影響により、戦争時の軍国主義を広めるとされ、ほぼタブー視される時代が続きました。

そのため、日本では軍事学の存在も広くは知られていません。

ゲームのような娯楽としてはまだしも、「戦争に詳しくなるなど言語道断!」というわけです。皮肉にも「アメリカと戦争しているのだから英語はいかん!」と同じ理屈で封じてきたわけですが、ともかく戦後日本における軍事学というのは、わりとアングラな世界にとどまり続けたのです。

現在では、昔ほど軍事学が忌避されなくなりましたが、あまりにアングラ時代が長かったので、そもそも「軍事学とは何か?」を説明できる人が、ほとんどいなくなってしまいました。

ザックリと考える「軍事学」の範囲

まずザックリと「軍事学とは何か」を説明します。
一言で言えば、「争いが起きるきっかけ」から、
「争いが終わってからどのように変わったか、あるいは変わらなかったか」

その間にある全てが軍事学の対象です。

ここで重要なのは、「争い」であって、決して「戦争」では無いこと。
そこに一発の銃弾が飛ばなければ平和かといえばそうではなく、逆に砲煙弾雨が雨あられという状況でも、戦争と呼ばないこともあります。

矛盾したことに思えるかもしれませんが、その違いを理解できるようにするのが、軍事学だと言って良いでしょう。

平和も戦争も、その先にあり

軍事学を、「人殺しの方法」あるいは「鉄砲の撃ち方を習うものだ!」と決めつける人もいますが、それは軍事学の中でもほんと1かけらにすぎません。

鉄砲を1発撃つのにも「原因」があり、その「原因」は政治であったり、経済問題であったりと、多岐に渡ります。
軍事力が存在し、あるいは使われる原因を知らなければ、それを終わらせる方法がわかるはずもありません。

それを学び、理解し、可能であれば実践することが、軍事学だと思ってください。

軍事学を学ぶとは、どういうことか

自分は兵器が好きだというならば、軍事学からその存在意義を学び、より深く学ぶ趣味としてライフワークにもできるでしょう。

戦争は断固反対だと言うなら、中身のない空虚なスローガンを振り回すより、戦争がなぜ始まり、どうすれば終わるのかを軍事学で学ぶきではないでしょうか。

今はどの国とも戦争をしていないとはいえ、災害派遣その他で自衛隊は頻繁に出動し、一方で日常的に近海へミサイルの試し撃ちが飛んでくる国、それが今の日本です。

軍事学を学んでおけば、災害や戦争の時に、呆然として何も考えられないという事態だけは、避けられるでしょう。

例えばある国で戦争が起きた時のことを、考えてください。
軍事学を学ぶことで、それまでは単なるニュースに過ぎなかった戦争から、さらに多くのことを学び、理解し、実践することができます。戦争が起きてしまった原因や歴史的経緯を正しく理解して、自分たちの国がそのような状況に陥らないような政策を支持する事ができるでしょう。

戦争の中では、具体的に何が起きているのかを理解して、自分たちに何ができるかを考えることもできます。
報道されている内容から、事実と誤解を区別し、報道されない部分に気がつけば、調べるきっかけにもなるでしょう。報道や国家、組織の発表から、誰がどのような思惑で行動しているか、冷静に考えられます。
戦争による影響、あるいは将来、戦争に巻き込まれた時の直接的な影響も、考えることができるでしょう。

もちろん戦争を起こさないためにできることは数多くありますし、それは一番大事なことです。
しかし、軍事学を学べば、戦争とはそうした「数多くある“できること”が、ことごとく失敗に終わった結果起きる」ことも理解できます。

まずは戦争を起こさぬこと、そして戦争を生き残ること、そして戦争を終わらせること、その全てが軍事学には詰まっています。

不幸にも、あるいは力及ばず戦争に事態になった時に備え、軍事学を学んでおくことは、極限状態で生き残るための、重要なヒントになるのです。戦争を防ぐため、あるいは生き残って戦争を終わらせるため、あなたも軍事学を学んでみませんか?

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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