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2019/02/14

笹木恵一

今一番面白い!『アクアマン』は映画のフルコースだ!

勢いがとどまることとの無いアメコミ映画。2019年の一発目はアメコミの老舗DCコミックス原作の『アクアマン』がついに先週日本でも公開された! 既に全米ではDC映画史上最大のヒットと言うニュースが入ってきていたので、かなりハードルの上がった状態で観に行ったが、その“高いハードルもひとっ跳び”してしまう程の面白さ。今回は原作コミックと、その近年の評判から、そしてそれを覆した今回の映画の見どころまで解説させてくれ! ネタバレはないよ!

出典:http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/







アクアマンって何?

アクアマンは1941年にコミック誌『MORE FUN COMICS』の第73号で初登場した古参のスーパーヒーロー。人間と海底人の間に生まれた海底王国アトランティスの王であり、全ての海洋生物と心を通わせることができる海の王者。ゴールデンエイジと呼ばれる30年代末から40年代にかけて登場したヒーローコミックスの多くが50年代初頭までに打ち切られ、いくつかが後に復活を遂げて今に至るものが多い中、アクアマンは一度も休載を挟まずに活躍する数少ないヒーローの一人だ。他にスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンも休載無しだが、この3方と比べてしまうとイマイチ地味な印象を持たれやすい。というのもキャラの性質上活躍の場は海に限られる上に、イルカやタツノオトシゴに乗って登場するファンシーな風貌は、見方によってはカッコいいというよりもシュールに映る。アメリカでも近年では半ばパロディの対象としての扱いを受けており、もちろん日本での知名度はゼロに等しかった。

今回の映画のここが面白い!

そんなイマイチパッとしなかったアクアマンを今作ではワイルドな見た目に変更し(90年代に原作でもワイルドな感じになったことはあった)振り向きポーズがカッコいいイカした兄ちゃんとして蘇らせた! そして肝心の映画の内容はと言うと……

ロミオとジュリエットから始まる風の谷のナウシカ風アーサー王伝説。その味付けとしてスターウォーズとローマの休日とインディジョーンズと、ジュラシックパークと007とパシフィック・リムとバットマンビギンズとタイタニックを詰め込んだ様な映画

という印象を受けたのだ! え、何を言ってるかわからないって? とにかく色んな映画から面白い部分を持ってきて全部詰め込んだようなフルコース映画! ただそれも下手にやるとどっかで見たことがあるだけで、まとまりのないつまらない映画になってしまうが、それが全部良い方に働いているのだ。展開がメチャメチャ早いが、画作りが上手いので、どの場面でも主人公たちが今どこにいて何をしようとしているのかが一目でわかるように出来ているから、置いてかれそうでちゃんと僕らを引っ張ってくれる。冷静に考えると滅茶苦茶な話なんだけど、そんなことを考える暇を与えないテンポの良さ。最後は大団円で、一本の映画としてこれ以上ないほどにキレイに終わっている。それでいて続編が楽しみという至極のエンターテイメント作品。
もうパッとしない奴だなんて言わせない。かつてマーベルのアイアンマンがそうだったように、アクアマンは今後DCコミックスを牽引していくであろうキャラクターに生まれ変わったのだ。

DCコミックスここにあり!

今回改めて気づかされたのは“DCコミックス映画らしさとは何か”ということ。DC映画はこれまでどちらかと言うと「暗い」という印象を持たれがちだったが、実はそれだけではなかった。DC映画らしさとは何か、それはどのシーンにも必ず“バシっと決まるワンカットが入っている”ということだ。どんなに展開が早くても全てのシーンで、それぞれを象徴するワンカットが見る者の心に刻まれる。それはさながらコミックにおける決めの大ゴマのようで、コミックの映画らしい個性を放っているのだ。これが元祖アメコミヒーロー出版社たるDCの一番の個性と言えるのではないだろうか。

今最も面白い映画『アクアマン』。ぜひ映画館でご覧いただきたい。見たことのない壮大な世界へと連れて行ってくれること請け合いだ!







笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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