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2017/07/12

エンドケイプ

ソビエト連邦ミリタリーウォッチ《ボストーク》が愛おしい件


ソビエト連邦から続く時計メーカー「ボストーク」のコマンダスキー(ダイバーズのアンフィビア含む)、及びその系列モデルを長年集めている。
モスクワ第2時計工場を起点に第二次世界大戦後、機械式時計の生産を始めたのだが、自分は1991年(ソビエト連邦崩壊)前後のモデルを中心に集めている。
このボストークの魅力をざっくり3点あげてみよう。



①種類の豊富さ

ケース、盤面、ベゼルの組み合わせから成るこの時代のボストークの種類は膨大だ。
ベゼルや裏蓋のマイナーチェンジを含めるとどれだけあるのか計り知れない。
ソ連崩壊時の混乱を経た後に民営化、そして破産・分散を辿るので、おそらく海外コレクターですらその全容を把握しきれていないと思う。



②デザイン

日本ではまず生まれない独特なデザイン色彩、そしてキリル文字が最高にカッコいい。
洗練されていないチープな側面も隠しきれていないところがまたいい。
ちなみにこれはロシアの自動車メーカー「ラーダ」とのコラボ。
文字盤のロシア語ЛАДАはLadaのこと。
これを海外コレクターの掲示板にアップしたところ、ボストークマニアも「初見」というほどレアなタイプだった。
どうにか譲って欲しいとの連絡もあった。
譲らないが。



③ミリタリー感

ボストークはソ連の代表的なミリタリーウォッチでイラストも含めミリタリー要素は高い。
軍に対して正式に卸す一方で、観光客やコレクターを意識したモデルや珍品も多く、それも踏まえて楽しいシリーズだ。




僕はこのコレクションの多くを1990年代に中国の北方地域の市場で交渉して購入した。
ソ連崩壊という混沌とした時代にロシア人が南下して中国に売りに来ていたのだ。
この頃はもうお土産品モデルもソビエト連邦国防省発注品モデルも関係なく中国市場に並ぶという非常に面白い時代だった。
隣で少数民族の朝鮮族が自家製キムチを売っている横でボストークが並ぶのだ。
僕は毎日のように市場に出かけて店のオヤジと雑談しながらボストークを買い、その多くを日本のフリーマーケットで売ったりしていた。
ちょうどこの頃、日本国内ではソ連崩壊というキーワードがブームで、東急ハンズでもボストーク売り場(お土産モデルひとつ17000円くらいだった)が出来たりして、ちょっとしたムーブメントを生み出していた。
近年だと隔週刊『ミリタリーウォッチ・コレクション』というマガジンが発刊され、その中でロシア代表としてボストークに酷似しているモデルが出たりした。




手巻きは浪漫。




このベルトは純正品。




専用皮ケースの風合いが最高にハードボイルド。
CCCPの文字にグッとくる。




こちらも純正ベルト。




ベルトにはガガーリンの肖像が。
ちなみに有名な言葉「地球は青かった」が、かなりざっくりとした日本語訳だという事はあまり知られていない。
ゾンビ映画「The Return of the Living Dead」を「バタリアン」と名付ける日本のとんでもセンスはたまに功を奏す訳だが、割とこの「地球は青かった」も端的かつロマンチックで良い気がする。




このガガーリンベルト潜水艦モデルの別パターンと比較。
ただの色違いのようで、秒針形状からカレンダーの有無、コマンダスキー表記場所やベゼルの形状等いろいろ違う。
このバージョンの謎の多さがボストークの魅力だ。




こちらは盤面にガガーリンロケットはボストーク1号か。
海外では希少扱いされており店によっては他モデルの倍以上の価格設定になっている。




エリツィンモデル。
横にはロシア国旗。そして下部にはキリル文字でCCCP(ソビエト連邦製)表記とてんこもり。
時代のうねりを感じる一品でジャンル的にはお土産品。
この図案からもおそらく1990年~91年のもの。




右は古く未使用の70年代前後デッドストックで文字盤下にはЗАКАЗ МО СССР(ソビエト連邦国防省発注品)の文字が 。
ソビエト連邦国防省発注品は軍への支給の他、大使館での贈呈品にも使用された。
左はケース違い。




国防省発注品はデザインでの区別が難しく、このЗАКАЗ МО СССРの記載の有無で判断する。
売り手がこの区別を知らない事も多く、他のお土産品ボストークと同価格で国防省発注品が混ざっている場合もあるので、そういうのを見つけたら入手して損はないと思う。
ボストークの選び方のコツとしてまず文字確認である。




コレクションの中でもレア度の高い超美品がこちら。
これは1980年代前半だと思う。




やはりЗАКАЗ МО СССР(ソビエト連邦国防省発注品)モデルで、最近オーバーホールにも出した。
このボストーク、部品の入手が困難な事などから国内でオーバーホールを受け入れてくれるお店は極めて少ない。




僕も何件か問い合わせ断られているのだが、東京だと豪徳寺にあるエルオクロックというお店でオーバーホールをしてくれる。
とても親切丁寧な対応だった。

エルオクロック

東京都世田谷区豪徳寺1-42-9
03-6318-7263




近年ボストークは破産して、所有権が分散してしまったため、この頃の無骨で重厚な面影はもうないのだが、非常に集めがいのあるシリーズなので是非ひとつ手頃なモデルを買ってみてソ連の息吹を感じてみてはどうだろう。

文/写真:エンドケイプ

《りゅうちぇる》×《カネボウ化粧品suisai》コラボソング『TRUE TRUE』や
ジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない3期オープニング『Great Days』等の作詞家でクリエイター
TV出演「笑っていいとも」「めざましテレビ」「モーニングバード!」「スッキリ!!」「Nスタ」「月曜から夜ふかし」他多数
Twitter: https://twitter.com/endcape
Blog: http://lineblog.me/endcape/

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