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2017/04/23

菅野 直人

新機種さんいらっしゃい! 岩国基地へF-35B配備

2017年1月18日、岩国基地(山口県)に米海兵隊の新鋭機F-35Bが到着! ここにF-35B前任のハリアーIIが派遣された時は「危険な飛行機ハリアー配備反対」など騒がれましたが、今回はオスプレイばかり注目されている中で、大きな反対運動も無く配備が始まったようです。

オスプレイについての記事はこちら

戦後の長い歴史を持つ岩国基地

1939年に日本海軍の練習航空隊用として建設された岩国飛行場は、戦後接収されて第1陣は米海兵隊が進駐。その後連合国の日本占領軍の中でもイギリス軍が中国地方を担当することが決まると、イギリス空軍をはじめ、オーストラリアやニュージーランドなど英連邦軍の空軍基地になりました。

1950年に朝鮮戦争が始まり、国連軍が朝鮮戦争から叩き出されるようになると、米軍とイギリス軍が運用する重要拠点へ。朝鮮戦争後は米軍と自衛隊の共用基地となり、1967年以降は米海兵隊と海上自衛隊が部隊を駐留させることに。

かの日本が誇る救難飛行艇、US-1とUS-2も岩国基地所属です。

さらに今後(2017年2月時点)は厚木基地から米海軍の空母航空団CVW-5も移転してくる計画があり、極東最大の米軍航空基地になる見通しとなっています。

さらに、沖合を埋め立てた新滑走路に移転した2012年以降は「岩国錦帯橋空港」として全日空の定期便も飛ぶ軍民共用の飛行場になったのでかなり混雑するようになったので、「空母航空団が来るなら、もっと沖合にメガフロートで新々滑走路作って欲しい」という話も

メガフロートは過去にも米軍が「そんな実績も無い怪しげなもので安定運用できるか不安」と非常に難色を示してましたから、どこか民間空港で実績作るまで無理でしょうけど。

「ワスプ」での運用を目指し、F-35B海外初展開

Lockheed Martin F-35B Lightning II - 2015 Miramar Air Show (21743388048).jpg
By Roger Smith from USA – 2015-10, パブリック・ドメイン, Link

この岩国基地ですが、2017年1月18日にはアメリカが開発した最新鋭V/STOL(垂直 / 短距離離着陸)ステルス戦闘攻撃機、ロッキードF-35Bの第1陣が飛来しました。

それまで常在配備、もしくはローテーションで派遣されていた米海兵隊のF/A-18Dホーネットや、旧型のV / STOL攻撃機、AV-8BハリアーIIと交代し、16機が配備される予定です。

F-35Bは運用対応改修が施された全通甲板型(空母型)のフネなら艦載機として運用できるので、佐世保基地を母港にしていた米海軍の強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」と交代する同「ワスプ」とセットで運用すると思われます。

最近は東シナ海や南シナ海で中国軍の動きが活発になっていますので、それに対する後詰の戦力というわけですね。

ちなみにF-35Bは航空自衛隊も今後配備するF-35A戦闘機の派生型で、下を向く可変ジェットノズルと胴体中央部のリフトファンで、垂直離着陸、あるいは短距離離着陸での運用が可能です。

コックピットの後ろのフタがパカっと開くと、それがリフトファン用の空気取り入れ口になってますから、通常の離着陸をするのか、垂直、短距離離着陸をするのかはすぐわかります。

もっとも、エンジンとリフトファンの推力に対して自重がかなり重いので、垂直離着陸時には武装や燃料はあまり積めない制限があると言われていますが。

岩国基地での航空祭「フレンドシップデー」が盛んだった頃なら、祭の最中に垂直離着陸デモンストレーションで盛り上げたんでしょうけど、最近の米軍は予算不足がひどいので、あまりお金を使うデモはやりそうにないのが残念?

かつてハリアーII配備時にはオスプレイさながらのビラ配布も

F-35B - RIAT 2016 (28339519775).jpg
By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – F-35B – RIAT 2016, CC 表示-継承 2.0, Link

F-35B以前のV/STOL攻撃機であり、定期的に交代で派遣されてくるAV-8BハリアーIIはF-35Bとの入れ替えで日本から姿を消すと言われていますが、初配備となった1989年はちょっとした騒動になりました。

「ハリアーIIは墜落事故が多発する欠陥機!」などと書かれたビラが市民団体により配布されて、その抗議行動は全国ニュースでもかなり報道されています。

非力なエンジンの割に重たくて操縦が難しく、垂直離着陸という飛行機としては割と無茶な運用をするので確かに事故も多かったハリアーIIですが、結局2017年までにやたらと墜落事故が頻発して事故率が他の機種よりやたらと高いということはありませんでした。

ただ、当時の反対運動の様子を思い起こすと、現在のオスプレイ反対運動とビラや主張の内容もおおむね似たりよったりです。

オスプレイの事故率が今後どう推移するのかわかりませんが、あれだけ反対したハリアーIIの後継機として同じようなV/STOL機のF-35Bには大きな反対運動の報道もありませんし、そのへんは運動か報道かどちらか、あるいは両方の都合なんでしょう。

岩国で次の新機種は?

F-35C Lightning II at-sea trials 141104-N-ZZ999-017.jpg
By CVN 68 – https://www.dvidshub.net/image/1648899, パブリック・ドメイン, Link

米海兵隊による岩国基地へのF-35B配備はスムーズにいきそうですが、今後配備になりそうな新機種は何でしょう?

既に電子戦機EA-6Bの後継機としてEA-18Gが岩国でテスト飛行を行った際には「騒音はホーネット(従来配備されていたF/A-18D)と大差無さそう」ということで、割と騒音のひどいことで有名なスーパーホーネット系の発着・配備にはそれほど問題は無さそうです。

そうでないと空母航空団の移駐に支障が出るから大変ですが。

最近のトランプ新大統領の言動で今後の開発が心配な新型艦上戦闘機、F-35C(F-35Aの海軍型)もいずれは空母航空団の新型艦載機としてF-35B同様、優先的に配備される可能性がありますから、次の新型機お披露目はF-35Cかもしれませんね。

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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