- コラム
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菅野 直人
新たな艦艇が生を受ける瞬間といえば、正確には就役時など「書類上、正式に登録された日」となります。しかし、もっとも盛り上がる場面ならば進水式!
スロープから滑り降りる、ドックに注水して浮かべると方法はさまざまですが、楽隊の演奏とともに初めて海に浮かぶ瞬間に鳴り響く瞬間には「生」を感じます。そんな進水式の定番と「こんなのはどう?」という提案です。
船体をつなぎ止めていた「支鋼」切断とともに、船台を動き出す最新鋭護衛艦。
スルスルと滑り出す中で、音楽隊による昔も今も変わりないメロディーの演奏が始まります。
その船体が海へとその一歩を記すと同時に、重く、しかし高らかな霧笛。
まさに赤ん坊がその産声を初めて上げた時のように、海上自衛隊の新たな力が誕生した瞬間を伝え、見る者全てにそのダイナミックな印象を伝えます。
旧日本海軍が産みだした、日本屈指の名曲「軍艦行進曲」です。
別名「軍艦マーチ」とも言われ、そちらの方が馴染みのある方もいるかも?
初演は1900年4月に当時の最新鋭戦艦「富士」艦上で行われたといいますから、既に110年以上の歴史を誇ります。
太平洋戦争敗戦後の一時期は軍国主義的としてタブー扱いに近かった時期もあり、その後もなぜかパチンコ屋の定番BGMとして多用されましたが、海上自衛隊発足後は海上幕僚監部通達により、公式に儀礼曲と認定されています。
昔も今も、日本の海の守りを示す象徴曲と言って良いでしょうね。
なお、筆者は高校の放送部時代に昼の校内放送で「軍艦行進曲」を演奏しましたが、教員からは「普段パチンコ屋に通ってそうな生徒がわかった」と好評でした。
私立学校は大らかで良いものだと思いましたが、もちろん「男塾」ではありません(男子校でしたが)。
海上自衛隊の艦艇以外でも「軍艦行進曲」が使われるケースはあると聞きますが、民間船なら特にこだわらず、他にふさわしい曲を選ぶことも。
たとえば三菱重工神戸造船所でコンテナ船の進水式が行われた時は、「錨をあげて」(ジンマーマン作曲)が使われました。
ヤクルト・スワローズの攻撃でランナーが塁に出た時のチャンステーマとしても有名ですが、海浮かんだ後で「東京音頭」に移行したりはしません(当たり前です)。
運動会やTVのバラエティ番組でもよく演奏されますが、実はこれもまた軍歌であって、1906年にアメリカ海軍のチャールズ・ツィマーマン中尉によって作曲された、アメリカ海軍の行進曲だったりします。
そもそも「行進曲」(マーチ)自体が、何が行進するかと言えば軍隊が行進する時に使うため作曲されたケースが多いので、元をたどれば軍歌や軍隊の行進曲に行き着くのは当たり前かもしれません。
こちらは沖縄で那覇と座間味島・阿嘉島を結ぶ民間新型フェリー「ざまみ3」の進水式。
支鋼切断後のBGMはアニメの名作「宇宙戦艦ヤマト」オープニングです。
これもまた大いなる船出にはふさわしい曲ですね。
たとえディーゼル推進でも「波動エネルギー充填、120%!」と叫びたくなりませんか真田さん?!
アニメの内容からすれば旅先での困難があるんじゃないか? とツッコミたくもなりますが、それでも大抵の場合ヤマトは無事に帰ってくるのですから、それが一番ですね。
個人的にはリメイク版の宇宙戦艦ヤマト2199は少し曲調が軽い感じもするので、1970年代版でいってほしいものです。
軍艦(護衛艦)の進水式には威厳も必要であり、また旧日本海軍からの伝統を受け継ぐ海上自衛隊では、公式儀礼曲である「軍艦行進曲」はこれからも必要でしょう。
しかし、陸上自衛隊や航空自衛隊が萌えキャラなどの多様に走り、海上自衛隊でも親善訪問先での公開には割とユルさを見せる中、「宇宙戦艦ヤマト」など新時代の方向性を進水式に中に取り込むのもひとつの手では無いでしょうか?
今後は一層国民の理解を求められる情勢でもあり、1人でも多くの国民を理解できるよう、新曲の採用にも前向きでいいのかもしれません。
それでは最後に、海上自衛隊横須賀音楽隊の皆様より「宇宙戦艦ヤマト」、進水式でもぜひ!
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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