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2018/05/24

笹木恵一

レディ・プレイヤー1 ~これは僕らの映画だ!~

スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』はもうご覧になっただろうか。連日テレビやインターネットで取り上げられているので、映画に興味がない方でも名前ぐらいは聞いているだろう。原作はアーネスト・クラインの小説『ゲームウォーズ』。出演は主人公をタイ・シェリダン。彼は最近X-MENシリーズのサイクロプス役でお馴染みだ。ヒロインを演じるのはイングランドの女優オリヴィア・クック。前回紹介した『ローグ・ワン』の敵役ベン・メンデルスゾーンが今作でも悪の大ボス役で登場している。

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さらに物語のキーとなる二人の人物をリブート版『スター・トレック』でスコッティ役のサイモン・ペグと、スピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー助演男優賞を受賞したマーク・ライアンスが演じている。日本のアイドルPrizmaX森崎ウィンも主要キャラクターの一人として出演しているぞ!

レディ・プレイヤー出典:レディ・プレイヤー1







ストーリー

西暦2045年、未来は人類が思っていたよりもそんなにいいものじゃなかった。地球に住むほとんどの人が貧困層となり、スクラップ置き場同然の居住区に住むのもごく当たり前のある意味絶望的だがそれが日常と化してしまった世界。人々にとって唯一の希望はバーチャルリアリティの世界“オアシス”への逃避だった。人々はオアシスでなりたい自分に変身し、冒険や戦い、あるいは仮想世界の日常を楽しんでいた。オアシスの創始者の一人、ジェームズ・ハリデーが死に際に残した遺言は、オアシス内に隠されたイースターエッグを探し当てた者に、賞金5000億ドルとオアシスの所有権を譲るというものだった。この時代ではオアシスを統べるものは世界を統べるも同然、個人プレイヤーから大企業までもがイースターエッグを求めてぶつかり合う。そしてイースターエッグに繋がる3つの鍵に最初に近づいた主人公ウェイドの元へ、同じくエッグを求める大企業“IOI”の魔の手が迫る。拝金主義のIOIにオアシスを渡すわけにはいかない! ウェイドと仲間たちの自由と夢と希望を守るための戦いが始まった!

レビュー(ネタバレ無し)

何と言っても見どころは映画のほぼ全ての画面に登場するアニメや映画のキャラクター。乗り物、舞台から音楽に至るまで、ありとあらゆるポップカルチャーが詰め込まれている。予告編でも登場した“金田のバイク”や“マッハ号”、“インターセプター”に“バットモービル”等の車が街をかっ飛ばし、それを追ってくるティラノサウルスやキングコング、洒落たクラブでは“Bee Gees”の“ステイン・アライブ”で踊るカップル、戦場で繰り広げられるガンダム対メカゴジラの夢の対決等々、言い出したらキリがないのだ。この映画を見終わった後は、自分ならあのキャラクターに変身してあの車に乗りたい等の想像が頭を駆け巡って尽きることがないだろう。必ずあなたの好きなものが見つかる今作は、まさに「僕らの為の映画」と言えるだろう。

個人的な感想(ネタバレ、物語の核心に触れる恐れがあります)

原作小説の存在と内容は知っていて、これが映画化されるという話も数年前から聞いていた。面白そうだとは思いつつも、単に大衆の好きな古く懐かしいキャラクターを大量に突っ込んだだけの懐古趣味に終わってしまうのではないかという不安も少なからずあった。そして実際に見終わったときにまず感じたのは、物語の本筋自体はごくごくありふれた、ともすれば少々古臭いのではないかと思えたくらいの内容で、描かれる教訓も現代の視点から見ると保守的というかなんというか、恐れ多くも「スピルバーグももうお爺ちゃんだからな」なんて心の中で呟いてしまったほどだった。しかし映画館からの家路につくと、じわじわと何かがこみ上げてきた。そして家にたどり着いた自分はスティーブン・スピルバーグという存在の大きさに、ただただ圧倒されていたのだ
最近の映画業界は70、80年代以降のポップカルチャー、あるいはオタク文化に精通した監督たちの活躍が目覚ましい。彼らの作品ではかつて低俗なものとされていたポップカルチャーの再評価と再生産が繰り返され、またそれらの作品では新しい価値観と古く保守的な価値観に対し製作陣からファンも含めて若い世代が、あーでもないこーでもないと議論を繰り返している。そこへ今の僕らを作り上げたポップカルチャーを牽引してきたまさに親ともいえるスピルバーグがやってきて、あれこれ小難しく考える若者たちにこの映画をもって古いも新しいも関係ない、当たり前の価値観を突き付けてきたのだ。

いろいろあるかもしれないけど、美味い飯食うのは好きだろ?」

しかも僕らの大好きなオモチャ、それも本物のオモチャを大量にばらまいていったではないか。多くの若い監督たちが、かつて自分が夢中になったものに近づこうと、それに限りなく近い作品をいくつも作ってきた。『パシフィック・リム』はどこまで言っても『マジンガーZ』ではないし『シン・ゴジラ』がどれだけヒットしてもそれは初代『ゴジラ』ではない。しかし、この映画の登場人物たちを僕らと同じ消費者の立場に置き、彼等もまた受け手として過去のキャラクターたちで遊んでいるとしたことにより、第三者のフィルターを通すことのない“本物”として直接登場させることに成功しているのだ。これらを登場させることができたのも、ひとえにスピルバーグだからこそできたことに他ならない。

僕らはスピルバーグによって育てられ、いまだに彼の用意したおもちゃ箱に夢中になっている。この事実に直面し、改めて彼の存在の大きさに気づかされたのだ。

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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