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今回紹介するのは「G11」と呼ばれるかなり珍しいアサルトライフルについて!
このG11はドイツ軍制式アサルトライフルである「G36」を開発した事でお馴染みのH&K社が開発したアサルトライフルです。G11は1970年代に採用されていたG3の次世代を担うアサルトライフルとして開発されていたライフルなのですが、他のライフルでは使用しない非常に珍しい弾薬を使用しているアサルトライフルなのです。
その非常に珍しい弾薬というのは「ケースレス弾薬」。日本語で無薬莢弾とも呼ばれる薬莢の無い弾薬なのです。
そこで今回はそんな珍しいG11とケースレス弾について紹介したいと思います。
まず初めにライフル本体であるG11についてご紹介していきたいと思います。
冒頭でも少し触れましたがG11は1970年代にG3の後継機として開発が開始されたアサルトライフルなのですが、開発時に「薬莢を失くす」というアイディアが盛り込まれた珍しいアサルトライフルなのです。
薬莢はご存知のとおり真鍮や軟鋼などの金属で作られており、薬莢を失くすことができれば弾薬を製造する時のコストが大幅に削減できるだけでなく、弾丸の重量が軽くなるため同じ重量でも兵士が携帯できる弾薬量が増えるというメリットもありました。
その上、射撃時に薬莢を排出する必要が無くなるため従来のアサルトライフルより単純な構造で弾丸を撃つことができるようになる上に、高速で連射が可能になるという一石二鳥どころか一石四鳥ぐらいのメリットがあると考えられていました。
つまりケースレス弾薬を使用するアサルトライフルは国にとって製造者にとっても兵士にとっても非常に魅力的なアサルトライフルだったのです。
そこでH&K社はダイナマイト・ノーベル社と協力しH&K社はライフル本体を、ダイナマイト・ノーベル社はケースレス弾薬の開発に従事することとなります。
次にダイナマイト・ノーベル社が製造したケースレス弾について紹介していきます。とはいっても、ケースレス弾を見たことがない人は「薬莢が無い弾丸」と言われてもピンと来ないのではないでしょうか。
以前、別の記事で弾丸の仕組みについてご紹介させていただきましたが、弾丸は「弾頭」「火薬」「薬莢」の三つで構成されています。
関連記事:弾丸の仕組みや種類について解説! 単純だけど奥が深い弾丸事情!
問題は本来、火薬の入れ物である薬莢が無くなった場合、どうやって弾頭を撃ちだすのかという点です。
実はケースレス弾は“ケースレス”という名前がついていますが実際は通常の弾薬と似たような形をしており四角いケース状をしています。ただ、一番の違いはそのケースの素材。
実はケースレス弾薬の弾頭用のケースとして使用されているのは固形に形成された火薬。いうなれば今まで金属で作っていた薬莢の部分を、形成した火薬に置き換えたような作りとなっているのです。その結果、弾丸を発射したときには弾頭以外が全て燃え尽きる仕組みとなっているのです。
そしてこのG11とDM11弾の登場によりドイツ軍は低コスストかつ高性能な最先端のアサルトライフルを手に入れる……はずでした。しかし、いざ活用してみるとメリットよりもデメリットの方が多く使用に耐えないことが判明してしまうのです……。
アサルトライフル本体であるG11には大きく分けて2つの問題がありました。
1つは暴発が多発した事と、もう1つはメンテナンスが大変だった事。
まず暴発についてですが、薬莢を排出する必要が無いG11は機関部が密封されており外部に放熱する仕組みなっていませんでした。その結果、弾丸を発射すればするほど機関部の温度が上昇し、次第には引き金を引く前に機関部の熱で弾丸が引火し暴発するという事が多発したのです。またケースレス弾は全てが燃え尽きるといっても燃えカスは残ります。撃ち続けると通常の弾薬よりはるかに速いペースで機関部に火薬の燃えカスが溜まってしまい、結果的には命中力の低下に繋がってしまったのです。
次にDM11弾についての問題ですが、こちらも2つの大きな問題がありました。
一つ目はケースレス弾が非常に貧弱であったという点。
皆さんもご存知かとは思いますが火薬というものは非常にデリケートな代物です。一方でケースレス弾は火薬がむき出しの状態なわけですから保管方法に非常に気を使わなければいけない上、過酷な環境である戦場では適切に保管したり携帯することができなかったのです。
そして二つ目の問題は製造コスト。
当初は金属を使用しなくなる分、コストは軽減されるはずだったのですが全てが新技術で作られたDM11は量産する体制が整っておらず、従来の金属を使った弾丸よりはるかに高値になってしまい、なんとマガジン一本分で約5万円という恐るべき金額になってしまったのです。その結果、ケースレス弾を使用したアサルトライフルは戦場では不向きという結論が下され、ドイツ軍は従来通り金属の薬莢を使用する「G36」を制式アサルトライフルとして採用しG11は量産される事なく姿を消すことになってしまうわけです。
いかがでしたでしょうか。個人的には好みなジャンルにはいるケースレスアサルトライフル「G11」。初めて知った時はなかなか面白い仕組みのライフルだと感心した記憶があります。
ちなみに余談ですがケースレス弾薬の開発は今でも様々な国で開発されてはいるものの、その都度今回紹介したG11と同じような壁にぶち当たり計画は頓挫しているようですね。ただ、今後、新素材が開発されたりケースレス弾が真鍮を使う弾薬より安価になればケースレス弾を使用するのが普通になる日も来るかもしれませんね。
元々はインドア派だったが、体力の衰えを感じはじめたため、体を動かす趣味を探してサバイバルゲーム初参加。それ以降というものサバイバルゲームの魅力と銃の魅力にひきつけられ、今では猟銃免許や狩猟免許まで手を出して本物のショットガンを背負って山でイノシシやシカを追うまでに。サバゲーやアウトドアの魅力を知ってもらうために今日も熱意執筆中。
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