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2017/07/20

菅野 直人

旧日本軍・対戦車攻撃で活躍した兵器BEST5

戦車が出てくると手も足も出ない、さりとて自軍の戦車を出すとあっという間に撃破されるという
 
「陸軍は歩兵以外弱すぎ!」
 
という印象のある日本軍ですが、実際はそうでもありません。日本軍の対戦車攻撃はそれなりに脅威で、活躍した対戦車兵器もありました。

第5位:九四式三十七粍速射砲

DSC 0638 - Flickr - euthman.jpg
By Ed Uthman from Houston, TX, USA – DSC_0638, CC 表示 2.0, Link

旧ソ連崩壊後にいろいろと新資料が登場するまで、「日本軍がソ連戦車に一方的にボコボコにされた戦い」とされてきた1939年のノモンハン事変ですが、実際にはソ連戦車部隊は日本軍に大損害を受けており、それを後の戦いの教訓にしたのでした。

その戦いで活躍したのがこの37mm(三十七粍)速射砲で、日本軍で速射砲と言えば「対戦車砲」のこと。ノモンハン事変の時期に使われていたソ連戦車は軽量快速で機動力や火力は申し分無かったものの、紙のような薄い装甲しか無かったので37mm対戦車砲でボコボコにされたのでした。

1930年代までは37mm対戦車砲で役に立たないなんてよほどの重戦車とかですから、考えれみれば当たり前の話。
太平洋戦争ではさすがに連合軍の戦車相手に分が悪かったものの、それでも集中射撃の打撃でエンジンを故障させるなど、全く役に立たなかったわけではありません。

第4位:八八式七糎半野戦高射砲

グアム島に遺棄された八八式7.5cm野戦高射砲、閉鎖機が外されている
パブリック・ドメイン, Link

ドイツ軍が88mm高射砲を対戦車砲としても使ったのは有名な話ですが、日本でも高射砲があるじゃない、というわけで日本も高射砲部隊による対戦車戦闘は行われています

前線でよく使われたのは野戦用で軽量、運搬も容易で迅速な展開が可能だったこの75mm(7.5cm・七糎半)高射砲。
水平射撃も最初から考慮はされていたものの、陣地にコンクリートなどで固定する「マル特」と呼ばれたタイプ以外は数発撃つと故障することが多かったのが難点。

とはいえ、徹甲榴弾さえあればM4シャーマン戦車だって撃破できましたから、ニューギニアや硫黄島戦、沖縄戦などで対戦車戦闘に活躍しています。

ただし、砲身寿命か徹甲榴弾が無かったのか、フィリピン戦ではシャーマンに命中したものの弾かれてしまった例もあったようです。

第3位:機動九〇式野砲

Type90FG.jpg
By Sturmvogel 66投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

75mm級の野砲(小型の榴弾砲)は砲兵の装備としては小さく威力は少ないものの、砲身を伸ばせばそれなりに射程は伸びますし、長射程兵器としてはそれなりに使えます

長射程ということは砲弾の速度が速く、徹甲弾を使えば対戦車兵器としてもいいアンバイになることから、ソ連軍では76.2mm野砲が対戦車砲としても活躍しました。その日本版と言えるのがこの九〇式で、砲口径75mm

パンクレスのゴムタイヤが使われていたのでトラックで牽引するのに便利な機動野砲でしたが、対戦車戦闘用にも十分な性能を持ち、これをチハ(九七式中戦車)の車体に載せた一式砲戦車とともに配備されました。

フィリピンやビルマ戦線では、長距離砲撃から連合軍戦車隊が相手の直接射撃まで活躍しています。

第2位:一式機動四十七粍速射砲

Antitank gun Japanese Type 1 front 3-4 view.jpg CC 表示-継承 2.5, Link

優れた火砲があっても大抵は重装備だからロクに輸送もできなかったのでは?という疑問に答えるのが、前線にも数多く配備されたこの47mm(四十七粍)速射砲で、九〇式野砲と同じくゴムタイヤを履いた機動砲です。

ソ連軍のT-34相手と言われるとちょっと辛いのですが、旧式装備の多い日本軍相手だからまだ活躍できたM4シャーマン戦車であれば、特に側面装甲もこの砲なら十分貫徹可能でした。

37mm速射砲が威力不足で連合軍戦車相手に一撃で撃破困難なことから、前線部隊でもこの砲にあまり過剰な期待を持つまいと考えていたような節がありますが、陣地を工夫して側面を狙えばアッサリとシャーマンを撃破しています。

日本軍としては軽量高威力の優秀砲で、新砲塔チハ(九七式中戦車改)やチヘ(一式中戦車)にも戦車砲型が搭載されています。

第1位:布団爆弾

Kasapano.jpg
By SA-kuva. – MTV3, パブリック・ドメイン, Link

フィンランドの冬戦争で投入された梱包爆薬。右の兵は火炎瓶を装備
 
対戦車戦闘でも優秀な火砲があったとはして、もちろん全ての戦場に行き渡るわけでも無く、そこに無い場合は結局、携帯対戦車兵器を持つ歩兵や工兵が頑張るしかありません。その分野で大きく出遅れていたのが日本でした。

バズーカ砲やパンツァー・ファウスト、パンツァー・シュレッケのような装甲貫徹力の高い無反動砲、あるいはせめて大威力の地雷でもあれば良かったのですが、それも無いため多用されたのが通称「布団爆弾」です。

総称して「梱包爆薬」とも言われ、本来は工兵などが障害物を爆破するための装備ですが、日本軍の場合は20kgの爆薬を包んだ布団爆弾を兵士が背負い、戦車に体当りして爆破する戦法が多用されました。

ほかにこうした簡易対戦車兵器は、棒の先端に爆薬を取り付けた「刺突爆雷」や竹槍の先に爆薬を仕込んだ「爆槍」、火炎瓶などがあり、本土決戦では根こそぎ動員でろくに銃も無い部隊や民間人による義勇戦闘隊を含めて総特攻が行われるはずだったのです。

まあ、日本全土でそんな事態に陥らなくて済んだので、今の日本があるわけですが。

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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