- コラム
オスプレイは危険な飛行機か? 軍用ティルトローター/ティルトウイング機の歴史
2017/01/20
菅野 直人
すごいー! たーのしー!
2017/09/2
菅野 直人
変形合体メカなど「何か動くギミックのあるメカ」は人気が出るもの。しかしプラモデルにする時は結構面倒……だからというわけでも無いのですが、アニメでも実物でもその数は多くありません。
可変翼機もそのひとつで、重量過大や信頼性の問題でお蔵入りも多く無いですが、それでも実用化された中からカッコイイ可変翼機をご紹介!!
By Master Sgt. Kevin J. Gruenwald, U.S. Air Force – http://www.defenseimagery.mil; VIRIN: 070831-F-6911G-002, パブリック・ドメイン, Link
主翼の後退角を可変させることで、離着陸時や空戦時に必要な低速機動に必要な後退角から高速飛行のために抵抗の少ない後退角まで対応させる可変後退翼。
第2次世界大戦後に各国で試作機が多数作られましたが、米ソ以外で実用化までこぎつけたのはこのトーネードくらいでは無いでしょうか?
イギリス、西ドイツ(当時)、イタリア、オランダ(後に脱退)の4か国合弁企業パナヴィア・エアクラフトによって開発され、まず攻撃機型トーネードIDSの試作機が1974年に初飛行。戦闘機型トーネードADVも1979年に初飛行し、IDSはイギリス空軍、ドイツ空軍、イタリア空軍、サウジアラビア空軍で、ADVはIDSを採用した中でドイツ空軍以外が採用しました。
他に防空網制圧用の電子偵察 / 攻撃機型トーネードECRをドイツ空軍とイタリア空軍が採用しています。湾岸戦争など実戦参加も経験していますが、可変翼の割にどことなく地味で、日本ではあまり人気が無いものの一応西欧唯一の可変翼機ということでランクイン。
現在でもIDSは各国で運用されていますが、戦闘機としては早々と時代遅れになり、中古機の引き取り手も無いADVは既に全機退役してしまいました。
By Rob Schleiffert – Su-17, CC 表示-継承 2.0, Link
ジェット機の実戦配備では西側諸国に遅れを取らなかったものの、小型軽量の軽戦闘機や防空戦闘機など航続距離が短く搭載量が少なくても済む飛行機や機体の大きさで勝負できる爆撃機ばかりだったのがソ連。
特に戦闘機爆撃機の類は航続距離は短い爆弾などもあまり積めないと問題があり、初期のスホーイSu-7も例外ではありませんでした。
そこで外翼を可変後退翼にして、武装や燃料を増やしても前線の滑走路が短い基地でも運用可能な能力と高速性能を両立させたのがSu-17、NATOコードネーム「フィッター」シリーズです。コンピューター制御など使っていない、単純に数段階の可変が可能なだけのお手軽可変翼機だったので積極的輸出もされました。
しかし、そのうちのリビア空軍機Su-22が米海軍空母機動部隊の艦載機にケンカを撃った挙句、F-14トムキャットにあえなく返り討ちにあうという事件(1981年シドラ湾事件)があり、何かSu-17シリーズ自体がダメ飛行機のような印象があります。
しかし、実際には優れた武装搭載能力や飛行性能の高さで地上攻撃機としての評価は高く、そんな飛行機でF-14にケンカを売った当時のリビア空軍が悪いだけです。
ソ連崩壊後も旧東側諸国で使っている国があり、近代化改修を受けて今後もしばらく現役で飛ぶでしょう。「好きな可変翼機はSu-17シリーズですね~」という人がいたら、通だと思った方がいいかも?
By Staff Sgt. Aaron Allmon, U.S. Air Forceパブリック・ドメイン, Link
米ソ冷戦時代初期に、ICBMの登場でわざわざ超音速爆撃機で核爆弾を落としにいかなくても良くなり、配備されていたコンベアB-58ハスラーは退役、開発中のノースアメリカンXB-70は開発中止(実験機として転用)。
しかしレーダーで探知しにくい低空を超音速で突破すればソ連を奇襲できる! と考えたのか、1970年代に開発してしまったのがノースアメリカン・ロックウェルB-1です。
可変後退翼を採用したのは、離着陸性能の確保と低空高速突破のためで、最新鋭のマッハ2級最新鋭核爆撃機として漫画「エリア88」にもちょっとだけ登場しましたね。
しかし、やはりそんな事しなくてもICBMがあるし、新型巡航ミサイルもあるからいいじゃない……と言われればそれだけの話で、1974年に初飛行後1977年にはさっさと開発中止になりました。
しかし、1980年代のレーガン時代に「とにかくソ連をいつでも打倒できるテンコ盛り戦力を整えよう計画」で復活し、今度は低空長距離侵攻性能を活かした長距離攻撃機としてB-1Bが作られます。これも核軍縮で事実上核爆撃機としての能力は凍結されたのですが、搭載量と航続距離がやたらと長い高速攻撃機として、今日もB-1Bは戦争があるたび出撃しまくりです。
アメリカ空軍はこの種の任務に、これも可変翼のF-111大型戦闘爆撃機を使ってましたが、退役してしまったもので、B-1Bは今や余計ものというより貴重な戦力なんですね。
By DoD photo – http://www.dodmedia.osd.mil/; VIRIN: DN-ST-89-08431, パブリック・ドメイン, Link
飛行中のMiG-23
正直強いわけでも何でも無いですし、可変後退翼の制御もSu-17系同様手動制御のままのお手軽可変翼機ではありますが、冷戦時代に日本やヨーロッパへ大挙攻めてくると思われてたのがこのMig23および攻撃機型Mig27。
NATOコードネーム「フロッガー」は「蛙取り」という意味でフランス人への蔑称でもあったんですが、命名された頃は確かフランスがNATOを脱退してたので、イギリス人あたりが嫌味で命名したのかもしれません。
それはともかく、東側初の大推力戦闘機用ターボファンエンジンを搭載、高速性能と大航続距離が脅威なほかは空戦性能など大したこと無いと冷戦時代には侮られていましたが、冷戦終結後は「少なくともF-4ファントムより強い」と言われました。何か微妙に褒めてるのかよくわからない評価ですが。
ちなみに攻撃機型Mig27は強力な30mmガトリング砲を持っていますが、同じ30mmガトリングを持つタンクバスターA-10に比べると知名度がイマイチです。ソ連時代と崩壊後に世界中にバラまかれた機体がまだアチコチの国で活躍しており、1990年代半ばのアンゴラ内戦では傭兵空軍のMig23が活躍するなど「エリア88」ばりの活躍をしています。
By U.S. Navy photo パブリック・ドメイン, Link
泣く子も黙る史上最強・そして最高の人気を誇る可変翼艦上戦闘機。映画「トップガン」(1986年)ではF-5戦闘機演じるMig28戦闘機をF-14が撃墜するたびアメリカの映画館では拍手喝采だったそうで、日本でも何度も見に行った人が多いんじゃないでしょうか。
最近になって主演のトム・クルーズが「トップガン2」の製作発表をしましたが、戦闘機は何を使うんでしょう?
とうの昔にアメリカ海軍からは「性能はともかく金食い虫」と言われて退役させられたので、今でも使ってるイラン空軍が舞台だったりすると面白いのですが。
現役アメリカ空母艦載機のスパホ(ボーイングF/A-18Eスーパーホーネット)やロッキードF-35Cでイラン空軍のF-14Aと対戦するストーリーはどうかとか、ミリオタの想像を未だに掻き立てる存在ですよね。
コンピューター制御のハイテク可変後退翼を持ち、サイドワインダーやスパローで短 / 中距離ミサイル戦だけでなく超長距離空対空ミサイル「フェニックス」を運用できるのも売りでしたが、フェニックスの実戦運用実績豊富なのはイラン空軍だったりします。
映画で可変後退翼のメリットをフルに活かした空戦機動が有名になったのと、人気アニメ「超時空要塞マクロス」の主役メカ、2足歩行ロボにも変形しちゃうVF-1バルキリーのモデルにもなったことで、日本で一番人気のある戦闘機の1つでしょう。
今後はただでさえ整備が面倒なステルス機に、重量やコストもかさむ可変翼が装備される可能性は非常に低いのでF-14の再来のような戦闘機が登場する可能性は限りなく低く、雰囲気を味わいたい人はプラモで楽しむしか無さそうです。最近はイラン空軍F-14特集本が出たことで、さんざんアメリカ海軍仕様F-14のプラモを作った人でも、新しい楽しみが増えました。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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