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2017/01/14

菅野 直人

Mr.トランプ来たる~在日米軍が消滅する日?~

アメリカ合衆国時期大統領にドナルド・トランプ氏が当選したことは、世界中を驚かせました。決まったからには2017年1月20日に就任式が行われれば、正式に第45代アメリカ合衆国大統領となります。兼ねてから在日米軍に関するコメントも多かった同氏ですが、果たして今後日米安保はどうなるのでしょう?

日本の国防に絡むトランプ語録

Donald Trump by Gage Skidmore 12.jpg
By Gage Skidmore, CC 表示-継承 3.0, Link

第45代アメリカ合衆国大統領に就任するのを間近に控えた、ドナルド・トランプ氏、
政治家としてのキャリアが全く無く、実業家からいきなり大統領へと華麗なる転身?を図ろうとする同氏の語録は、一言で言えば「スラング辞典」と言うべきものでした。

それがまたアメリカン・スピリットに火をつけたのか、ともあれ国民大多数を味方につけた同氏が大統領になる以上、同盟国民としては日本に関する発言にも注目せざるをえません。

以下、「トランプ語録」から、今後の日本との安保体制の行先を不安にさせるようなものを抜粋します。

中国からは自力防衛せよ?

Donald Trump by Gage Skidmore 10.jpg
By Gage Skidmore, CC 表示-継承 3.0, Link

“2015年9月:エコノミストのインタビュー時の発言
(もし中国などが日本を攻撃したらどうするかという質問に)
アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史があるからね。
なぜ、アメリカは日本を守ってやっているのか?
ご存知の通り、日米安保条約は面白いよ。
なぜなら、他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない。”

(ニャート「ドナルド・トランプの発言・暴言・名言まとめ:米大統領選2016」より引用 http://nyaaat.hatenablog.com/entry/donald-trump-remarks-comments-quotes)

大統領選で同氏が本命視されるようになる前の発言ですが、ポイントを2点ほど。

●日清戦争での勝利や、日中戦争が中国にとって不利だった事から、日本は有力な同盟国と考えている?
●その日本をアメリカが守るだけの一方的な同盟に不満?



つまり、純軍事的には決して日本をないがしろにしようとしての発言では無い、とも解釈できます。

日本と韓国の核武装はアメリカにとってメリット?

“トランプ氏は、日本と韓国が北朝鮮と中国から自国を防衛するため、アメリカの核の傘に依存せずに自身で核兵器を保持することも選択肢の一つだと説明、両国の核保有が「アメリカにとってそれほど悪いことではない」と主張した。”

(ハフィントンポスト・トランプ氏「日本の核保持は否定しない」 在日米軍撤退にも言及【アメリカ大統領選】 http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/26/trump-mentions-japan_n_9551864.html より引用)


上記は2016年3月のコメントで、既に共和党の大統領候補者指名でトップを走っています。
ここでのポイントは

●中国と北朝鮮の核武装に対し、日本と韓国が核武装すればアメリカの負担が減る?
●日本と韓国は核武装してもコントロール可能な、信頼できる同盟国と考えている?
●両国独自の「核の傘(核兵器による抑止力)」で、アメリカの核戦力を削減できると考えている?



「頼もしい同盟国」というよりは、かつてのキューバのような立場に追い込まれないか心配になってきました。

特に経済力で中国の後塵を拝するようになってしまった今の日本で、核武装したばかりに経済制裁などされようものなら、その時アメリカは(というよりトランプ氏は)どうするつもりなのでしょう?

日米安保も見直し?

“クリントン氏は「核兵器の使用という言葉をトランプ氏は気安く口にしている」とした上で、過去にトランプ氏が日本など同盟国の核保有の可能性について発言したことを痛烈に批判。これに対しトランプ氏は「日本や他の国を守る限り、我々は大金を失う」「核については述べていない」と猛反論した。同盟国との関係見直しを示唆。互いに一歩も譲らない展開となった。”

(ハフィントンポスト・トランプ氏「日本を守る限り大金を失う」同盟関係の見直しに言及」【アメリカ大統領選】 http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/20/donald-trump-speaks-about-japan_n_12571472.html より引用)


これは2016年10月、いよいよ大統領選も大詰めというテレビ討論にて。
またもポイントを整理します。

●どうやら日本の核武装は言いすぎたとは思っているらしい。
●世界の同盟国を守り他国に干渉する「世界の警察官」はアメリカの利益にならない。
●同盟国との関係見直しとは言うものの、損得勘定が合えば続行すると思われる。



他にもトランプ氏は在日米軍の負担割合の見直しを求めるような発言もしていますが、その根底にあるのはこういうことでしょう。
「自力で防衛するか、アメリカに頼むか、安上がりと思った方を選びなさい」

まさしく実業家である同氏らしく、その発言に軍事的な思想が全く見えません。

まとめ

では実際にトランプ氏が在日米軍を廃止・撤収するかと言えば、おそらく答えは「No」でしょう。
その理由として、軍事的には

●中国や北朝鮮は明確な脅威という、最低限の認識はしている。
●しかも、それに日本や韓国が対抗するためには、両国の核武装すら必要という認識もある。



そして、実業家トランプ氏として重要な経済的には

●日本やヨーロッパから兵力を引き上げれば、長期的にはアメリカが市場を失う危険性がある。
●EUがアメリカに対し敵対的になったり、日本や韓国が中国の経済圏に組み込まれたりしても困る。



以上の理由があります。

ただし、同氏は新型エアフォースワン(有事には空飛ぶホワイトハウスとなる、とても大事な大統領専用機)をキャンセルしようとしていることも話題になりました。

Donald Trump's 757.jpg
By Adamkriesberg投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link

画像はトランプ氏所有のトランプフォースワン

いかに「自分のトランプフォースワンがあるのに、金の無駄」とはいえ、同氏の次の大統領がそれでは困るわけで、あまり後先考えずに目先の利益だけを追う傾向があります。

案外、長期的に政権を担う気など無いので、なにか困ったことが起きてもその時は自分の政権ではないからいいかと考えている可能性もあるので、油断できませんね。

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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