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2018/09/13

笹木恵一

山口組三代目~こんな映画作っていいのかよ!?~

今回紹介する作品はその名も『山口組三代目』! タイトルが示す通り山口組三代目組長、田岡一雄の自伝的映画で、主演は田岡氏とも親交の深かった高倉健。監督は多くの任侠映画でその名を知られた山下耕作。原作はもちろん当時現役バリバリだった田岡一雄組長だ。

出典:山口組三代目







ストーリー

幼い田岡一雄の母は、貧困の末過労で死亡。当時はみんな貧乏だったので親戚の誰もが引き取るのを拒む中、一人だけ酔っぱらってたおじさんが見かねて連れて帰るが、奥さんからは煙たがれ、扱いは散々。16歳で工員として働くも、ブラックな上司を殴ってクビになり、おじさん宅にも居づらくなったので家出。行く当てもなくぶらぶらしていると小学校時代の旧友と再会。その彼が山口組二代目組長の弟だと発覚。山口組系列のごんぞう部屋に居候させてもらい、ご飯までふるまわれる。今までロクなものを食わせてもらったことない一雄は生まれて初めて人の温かさに触れ、涙する。ある日山口組と敵対組織との抗争が勃発し、一宿一飯の恩に報いるために自分も出向いていく一雄。そこで初めて出会った二代目組長の登の威風堂々とした姿と、組員を想う任侠精神にあふれたその人柄に惚れ、一雄は山口組の若い衆になることを決意するのだった!

レビュー

タイトルだけでもうなんかすごい感じがビシビシ伝わってくるが、こんなの作って大丈夫だったのか? いや大丈夫じゃなかった。昔と今ではコンプライアンスの基準が違うから、今では考えられないような映画も作られていた……が、流石に倫理無法地帯の昭和とはいえ今作は問義をかもし、警察からも警戒されたし妨害もされた。世間が騒げば騒ぐほど、映画の知名度が上がっていき、制作側が自ら宣伝を打つこと無しに映画は大ヒット。商魂たくましい当時の東映社長岡田茂のメンタルの強さときたら、このあと続編の『三代目襲名』も製作しこちらも大ヒット。しかし警察からの圧力に屈し予定していた三作目は制作中止となり、頭にきた岡田は『県警対組織暴力』という暴力団と癒着した警察組織を批判する内容の映画を製作した。今だったら大炎上案件になることは必至だろう。

さて肝心の内容はというと、基本的には田岡一雄氏の実話を元としている為、他の任侠映画に見られる劇的な展開は少なく、淡々とした印象。登場人物達の雰囲気もどこか牧歌的で過激な暴力団のイメージとは程遠く、純朴な田岡青年と仲間たちの青春モノとして描かれている。行く先々で出会う人々が一雄の純粋で真っすぐな任侠精神に心を打たれ、いつしか協力者が増えていくという、ベタベタなサクセスストーリーだが、題材が題材だけに何というか実際にはもうちょっと血なまぐさいこともあったんだろうなぁと勘ぐってしまう。しかしその佇まいと演技によって無理やりにでも納得させられてしまうのは、名優高倉健の成せる業だろう。特に初めて遊郭で童貞を捨てるシーンで心の中で「よし一生懸命やろう!」とつぶやく健さんには萌えずにはいられない。
史実はどうだったかとか、現実はそうじゃないだろうとかは考えず、とりあえず高倉健主演の任侠映画、青春映画として楽しむのが一番だろう。

山口組三代目

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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