• TOP
  • やくざ戦争 日本首領 三部作~デヴィ夫人死す!~

2018/09/6

笹木恵一

やくざ戦争 日本首領 三部作~デヴィ夫人死す!~

どうせこの世に生まれたからにゃ、一度はてっぺんを目指したくないですか? 普通でいいですか? そうですか。まぁ出世にがむしゃらになる方々には頑張っていただいて、自分は家でこじんまりとすごすのが、いや頑張ってる方は素晴らしいとは思いますよ、そういうのは横で見てるだけでいいです、みたいな人は今すぐに家のPCやテレビの前でスナックでも食いながら『日本の首領』シリーズを観ましょう! 主演の佐分利信をはじめ、菅原文太松方弘樹成田三樹夫鶴田浩二の他70年代の東映オールスターが勢ぞろい!さらにザ・ショーグンこと三船敏郎も出てるんだから画面圧力は半端じゃないぞ片岡千恵蔵もいるよ!

出典:やくざ戦争 日本の首領







ストーリー

関西最大の暴力団「中島組」の首領、佐倉一誠の大いなる野望は全国制覇を達成し、正真正銘日本の首領(ドン)になることだった! 大手紡績会社と協力関係になったのをきっかけに、経済界にもどんどん影響を持つようになっていく中島組。これからは力より金だ、いや金が力だと意気込んではいたものの、若頭をはじめ暴力による全国制覇を目指す血の気の多い連中をはじめとして、組織の変革に伴う統率の乱れや混乱、そこに泣きっ面に蜂とばかりに、警察による暴力団撲滅大作戦により、協力関係にあった企業の裏切りにも合い一度は再起不能になったかと思いきやそれでも何とか持ち直し再び全国制覇を目指すが、今度は関東最大の暴力団「関東同盟」が立ちはだかる! 関東同名の首領大石は三船敏郎が演じているから手ごわいに違いない! インドネシアの石油利権も絡んできて、日本の首領になりたい出世欲オジサンの為に日本は大変なことになっていくのだった!

レビュー

ゴッドファーザー』からの影響を多大に受けている本作は、オープニングで流れるテーマ曲も悪く言えばパチモノ臭い。明らかに同作から引用しているようなシーンも多々あるがまぁご愛敬。

メインのプロットは暴力団の中でも、かなり位の高い人たちによる政治劇なので、難しい部分があって細かく理解するのは難しいが、基本的には関西最大のヤクザが今度は関東も征服しようとしているというのを頭に入れておけば大丈夫。毎回若いヤクザが出てきてメインの話と何も関係ないと思ったら、最終的にはお偉いさんの政治劇の影響で女を寝取られて殺されるというサイドストーリーもあるので、アメリカンニューシネマにどっぷりつかった当時の若者のハートもしっかりキャッチしていたかどうかは不明。

実録モノと任侠モノの折衷と言われている通り、基本的には現実のヤクザや政治家等をモデルにしつつもフィクションとして大胆にアレンジされているので、モデルとなった事件を知っていても展開の意外性を楽しむことができる。特に2作目は元インドネシア大統領で日本と親密な関係を持っていたスカルノ大統領をモデルとしたキャラクターが登場し、そうなると当然デヴィ婦人にあたる少女も登場する。この少女には悲劇的なラストが待ち受けているのだが、現在のデヴィ婦人がタレントとしても、むしろそっちの方で絶大な知名度を得ることになると知っていたらこんな展開にはならなかっただろう。ある意味貴重な展開かもしれない。

しかし何と言っても本作の最大の魅力は脂の乗りきった往年のスターたちの存在感に他ならない、ていうかそこだけですべてをもってかれるので、見終わった後に凄かった印象だけが残って、ストーリーが全然思い出せない! 主演の佐分利信なんてもともと座ってるだけでおっかないのに、話が進むにつれて老いと焦りからくる余裕のなさが凄味に拍車をかけていく。菅原文太は3作それぞれ違う役で出てくるが見た目がほぼ同じなので混乱の元だが菅原文太が出てるだけでなんかいいんだよ! そして宿敵の三船敏郎にとっては初の東映作品。泥臭い東映作品にひときわ輝く上品さが、悪役としての存在感を際立たせる。2作目まで内田朝雄が演じていたラスボスは3作目ではレジェンド片岡千恵蔵として生まれ変わってパワーアップするので、こいつを倒すシーンは必見だ!

やくざ戦争 日本の首領

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

この記事を友達にシェアしよう!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

サバゲーアーカイブの最新情報を
お届けします

関連タグ

東京サバゲーナビ フィールド・定例会検索はこちら
東京サバゲーナビ フィールド・定例会検索はこちら

アクセス数ランキング