- コラム
GODZILLA 星を喰う者-お前だけには絶対負けない!-
2018/11/15
笹木恵一
すごいー! たーのしー!
2018/08/2
笹木恵一
時は1998年、日本が生んだ世界的キャラクター“ゴジラ”の長編映画としては初めて日本国外で制作された作品。監督は『スターゲイト』『インデペンデンス・デイ』等の作品で、特に90年代はヒットメーカーとして名を上げたローランド・エメリッヒ。出演は、ブスのくせになぜか美人の立ち位置にいることてお馴染みのサラ・ジェシカ・パーカーの旦那マシュー・ブロデリック。日本では広末涼子と共演して山葵を舐めまくったり、実写版ドラえもんで人気を博したジャン・レノ。ヒロイン役のマリア・ピティロはこれ以外で何に出てるのかは特に印象がない。米国の人気アニメ『シンプソンズ』で色んなキャラの声を当てているハンク・アザリアも出ているぞ。なおゴジラの幼体の声は米国声優のレジェンド、フランク・ウェルカーが演じている、オールヘイルメガトロン!
フランスが行った核実験の影響で、周辺に生息していた爬虫類が突然変異を起こし巨大化。怪物は日本の船乗りたちの伝説にある怪獣の名前をとって“ゴジラ”と名付けられる。ゴジラはニューヨークに上陸し大暴れ。米軍の攻撃も軽々とかわして夜の闇に消える。米軍は巨大化生物の研究家ニック・タトプロスに協力を要請。タトプロスはゴジラと接触し血液サンプルを手に入れると恐ろしい事実を発見する。なんとゴジラはマンハッタンの地下に巣を作り、無数の卵を産んでいた。卵がかえればこの地球はゴジラ族によって支配されてしまう。果たして人類はこの危機を乗り越えることができるのか!?
80年代の頃からゴジラをアメリカで制作するという話は浮いては消えていたが、90年代に入り本格的に企画が動き出す。監督の候補にはゴジラファンを公言しているティム・バートンやヤン・デ・ボン等が上がっていたが、予算等の都合で却下され、当時人気を博していたローランド・エメリッヒが起用される。エメリッヒはゴジラにはそれほど思い入れもなく、従来のイメージにとらわれない全く新しいゴジラを作り出したものの、これが全世界で大不評。興行的な成功は収めたものの、予定されていた続編はキャンセルされ、それから長らくファンの間では毛嫌いされる不遇の作品となった。
しかし当時からモンスターパニックモノとしては非常によくできているとの声もあり、公開から20年経った現在ではそれなりに再評価されている様子。作品そのものの出来が悪くないにもかかわらず何故今作はこんなにも嫌われる内容になってしまったのだろうか。一説には制作陣はゴジラではなく『原子恐竜現る』のリメイクにネームバリューとしてゴジラの名を冠したという話もあるが、個人的にはその説はあまり本気にはしていない(その理由に関してはここでは省略する)。
まず一番の要因は怪獣がゴジラに見えないことだろう。そもそも日本のゴジラがデザインされたのは1950年代。恐竜をモチーフとしたが、当時の恐竜は今とは違い背筋をまっすぐ伸ばした直立姿勢だと信じられていたのだ。しかし80年代以降は前傾姿勢だったという説が有力となり、今回のゴジラもそれを元にデザインされているのだ。
そして今作のゴジラは米軍のミサイルによって殺されてしまうが、これがファンの反感を買った。ゴジラといえば第一作目でこそ殺されてしまう(しかも特別な兵器で)ものの、その後は当時の時点で40年間人の手で殺されることは一度もなかった。その当時の日本版最終作である『ゴジラVSデストロイア』では最後にゴジラは死を迎えるものの、人はおろか敵怪獣に殺されるわけでもなく、強大になりすぎた自分のエネルギーで自ら滅んでいくというものだった。この時点でゴジラの“死”はアンタッチャブルな領域にまで達していたのだ。
そこにきての今作のラストはゴジラの神秘性を完全に破壊してしまうものだ。エメリッヒはインタビュー中で「一作目の制作陣が今の技術を持っていたらどうするかを想像した」と言っているが、一作目の時点でのゴジラは、当時正しいとされていた学説に基づいたデザインで、決して不死身ではなかった。今作は一作目の時点まで戻った状態で制作されていたのだ。しかし当時の時点でゴジラが積み重ねた40年という歴史、そこで生まれたイメージを無視することは、シリーズモノを作るという上では大いなる過ちだったのかもしれない。
数年前、予定されていた今作の続編のプロットもネットで公開され、これが意外にもコアなゴジラファンからも高い評価を得ているので、もし時間があれば読んでいただきたい。
今作はゴジラ映画としては異端とされているものの、その後のシリーズには良くも悪くも大きな影響を与えていることは確かだ。公開から20年経ったという事で、もう一度見直してみるのもいいのではないだろうか。
幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。
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