- コラム
陸の珍兵器「何に使うの?ヒッポBARV(海岸装甲回収車)」
2018/10/10
菅野 直人
すごいー! たーのしー!
2018/07/4
菅野 直人
土木・解体業から平和目的、軍事作戦、果てはテロリズムからまで様々な形で使われる『爆弾』その中でも、投下した母機が素早く去っていくため、圧倒的な威力を実現可能なのが飛行機から灯火される航空爆弾です。その中でも絶大な威力を誇るものをいくつかご紹介しましょう。
航空爆弾の歴史は飛行機の発展とともに……と思えば少なくともその初期はさにあらず。
飛行機より以前から空中に浮かぶ『航空機』が存在し、そこから史上初の『爆撃(空爆)』が行われました。
そう、気球による爆撃です。
公式記録に残るものとしては1849年、第一次イタリア独立戦争で、オーストリア陸軍がベニス(ヴェネツィア)を攻撃したのが初とされていますが、この時使われたのは重量10kgの気球に爆弾をくくりつけて200発飛ばしたものでした。
つまり後年の太平洋戦争で日本軍がアメリカ本土を攻撃したのと同じ『風船爆弾』ですが、日本軍のものと同じく、オーストリア軍の風船爆弾もあまり物理的な効果は上がらなかった模様。
続いてはようやく飛行機の出番と思いきやまだまだで、1911年から翌年まで北アフリカの植民地、リビアを巡ってイタリアとオスマン帝国が争った伊土戦争にて、偵察に使われていたイタリア軍の飛行船が、捕捉したオスマン軍を手榴弾で攻撃しています。
一応これは史上初の『航空機からの爆撃(爆弾投下)』とみなされており、最初の航空爆弾は手榴弾だったんですね。
まあ最初の頃は空に浮かぶもの、飛ぶものと言えば人間以外に余計なものを極力載せないようにしないと飛べない代物でしたから、大威力の爆弾など積む余地が無かったんですが。
『飛行機』による爆撃としては、1912年の第1次バルカン戦争でブルガリア軍がアルバトロス F-2複葉機でやはり手榴弾ベースの爆弾を投下したのが始まりのようです。
その後は第1次世界大戦で初期には飛行船、後には急速に発展した飛行機(爆撃機)による戦場や都市への爆撃が行われるようになり、それを阻止するための戦闘機や高射砲も急速に発展。
その頃に航空爆弾の威力や命中精度を上げるため、下へまっすぐ落とすための爆弾の尾部につける羽根が工夫されたり、中にはライフル弾のように回転して安定させるため、羽根をねじらせたものも存在しました。
スペイン内戦(1936-1939)のゲルニカ爆撃で都市を壊滅させる手段としての爆撃、爆弾の有効性が証明されると、第2次世界大戦では都市機能やインフラ破壊のため、あるいは重防御を打ち砕くための大型爆弾が登場。
その究極のものが1945年8月に2発使用された核爆弾(原子爆弾)でした。
第2次世界大戦後は威力だけでなく命中精度を上げ、投下母機の安全を確保しつつ最低限の爆弾で目標を完全に破壊する手段として誘導爆弾や誘導ミサイルが発展。
ただし、これらは高価だったのと高速化する飛行機に搭載すると速度や航続距離に重大な影響を及ぼすため、低抵抗型の通常爆弾も数多く作られています。
また、誘導爆弾は誘導に成功すれば命中率こそ高かったものの誘導母機が必要で、その安全確保という問題もあったのですが、1990年代以降はGPS誘導爆弾の登場で、目標の座標さえわかれば母機による誘導も不要になりました。
しかし、そうした精度の高い爆弾に対抗して堅牢な防御を持つ陣地や地下構造物も増えたため、大型・大威力爆弾の需要は依然として絶えません。
核爆弾(原子爆弾・水素爆弾)を除き、昔ながらの爆薬による爆発力、あるいは硬い爆弾による貫徹効果を狙った通常爆弾は第2次世界大戦で一通り出尽くした感があります。
大型爆弾はイギリスが熱心で、ダムを破壊するための回転反跳爆弾『アップキープ』や、5トン爆弾『トールボーイ』、10トン爆弾『グランドスラム』などの地震爆弾と呼ばれるものを開発。
アメリカもB-29など爆弾搭載量の大きな爆撃機が登場すると、20トン爆弾『クラウドメーカー』や、5トン模擬原爆『パンプキン』を開発しました。
戦力整備方針の違いから、そうした大型爆弾を搭載できる爆撃機の無かった日本やドイツでは、無線誘導爆弾や赤外線誘導爆弾、慣性誘導、あるいは同様の誘導方式による初期の誘導ミサイルを開発し、ドイツではその一部を実戦投入。
誘導兵器は連合軍でももちろん開発して、アメリカの『バット』誘導爆弾など実戦投入されたものもありますが、戦後は日本やドイツなど敗戦国での技術も吸収して誘導兵器の開発に役立てました。
クラスター爆弾(親子爆弾)やナパーム弾も既に存在したので、こと通常爆弾に関する限り、誘導・無誘導を問わずその基本はほとんど第2次世界大戦で出尽くしていたと言えます。
戦後は核爆弾さえあればいいという時期もありましたが、大威力過ぎて軍事的というより政治的な兵器になりすぎてしまい、結局使えないので通常兵器の発展は続きました。
By U.S. Department of Defense photograph – United States Department of Defence (internet archive), パブリック・ドメイン, Link
2018年6月現在、現実に運用可能な通常兵器としてはもっとも大威力を誇る爆弾と言われるのが、アメリカ空軍のGBU-43/B 大規模爆風爆弾兵器MOAB(assive Ordnance Air Blast)です。
別名Mother Of All Bombs(MOAB、全ての爆弾の母)とも言われるこの9.8トン爆弾は、単なる大型爆弾では無くGPSによる精密誘導爆弾で命中精度は高く、目標直上で爆発した際の爆風で周囲の全てを広範囲になぎ倒す威力を持ちます。
爆発時には核爆発のようなキノコ雲が現れ、実際史上最小の核兵器と言われる歩兵用の核無反動砲『デイビー・クロケット』と同程度の威力を持つと言われるほどで、つまり危害半径は400mを超えるというわけです。
ただし、重量はともかく長さ約9.1mと非常に細長いMOABは爆撃機に搭載しての作戦は無理で、C-130やC-17といった輸送機で運び、母機の尾部カーゴドアからパラシュートを使って引き出し投下されます。
そのため、制空権が確実にあって目標が密集している場合でないと効果的な攻撃はできませんが、2017年4月にアフガニスタンのISIL(イスラミックステート)が建設したトンネル施設に対して初めて使用されました。
MOABは誘導兵器なので、地上に暴露した施設だけでなく、地下施設に対してもその入口に命中させることで、内部に壊滅的な被害を与えることが可能であり、十分な対空兵器を持たない地下施設にとっては非常に脅威的です。
2003年に開発されたMOABに対抗するかのように、ロシアが2007年に開発したのが7.1トン大出力ドロップ燃料気化爆弾、通称FOAB(Father of All Bombs、全ての爆弾の父)です。
1980年代に開発され、一時爆発で広範囲に拡散した燃料や爆薬を二次爆発させることで広範囲に被害を及ぼすことが可能な燃料気化爆弾の巨大なもので、衝撃波と熱戦で数百mの危害半径を持つとされ、威力はMOABを上回るとされています。
公開されたものはTu-160戦略爆撃機に搭載されていましたが、実際にFOABを搭載した飛行や投下は困難と推測されており、実際にはMOAB同様に輸送機から投下されるというのが、現時点での有力な推測です。
By User:Croquant with modifications by User:Hex – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
『全ての爆弾の父と母』が登場したところで、それより大威力の核爆弾の中で最高の威力を持つものならば、それは『全ての爆弾の神』では無いでしょうか?
それが1961年10月にただ1度だけ大気圏内核実験でテストされた、旧ソ連の100メガトン水素爆弾『ツァーリ・ボンバ』です。
投下はTu-95『ベア』戦略爆撃機によって行われ、一応は母機が退避する時間を稼ぐため投下後はいくつかのパラシュートで多段階減速を行いますが、母機の安全もさることながら、あまりの大威力に旧ソ連の各都市にも放射性物質が降下しかねません。
そのため、実際には50メガトンに威力を抑えて北極圏のノヴァヤゼムリャで投下実験が行われましたが、それでも猛烈な威力を発揮。
高度4,000mで爆発したにも関わらず核爆発の火球は地表まで及ぶと共に、上部は投下高度の10,500mに達し、1,000km以上離れた地点からも目視可能だったと言います。
核爆発による熱線危害半径実に58km(参考までに広島型原爆は1km)、仮に日本の東京駅上空で炸裂すれば北は茨城県の古河やつくば、東は成田空港、南は横須賀を超えて三浦半島ほぼ全域と房総半島の西半分、西は八王子、相模原、茅ヶ崎が最初の熱線だけで死に至るわけです。
その後襲いかかる衝撃波による被害など検討もつきませんが、実験で生じた衝撃波は日本も含め世界中の空振計に3度に渡って観測、つまり地球を3周するほどの威力だとか。
実際にはソ連の軍事力を誇示するためのものであり、実用で使えたものでは無く、1発しか作られなかったとも言われますが、このような想像を絶する兵器で本気で戦争していたら、もはや人類が滅びるどころの話ではありません。
科学者、軍人、政治家が頭を冷やすのには最適の爆弾ではありました。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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