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戦争中は資材不足や戦力不足が影響して、本来であれば考え付かないような様々なトンデモ兵器が考案されています。
以前にもロシア帝国が作った円盤型戦艦「ノヴゴロド」というトンデモ兵器について紹介しましたが、イギリスでも常識を疑いたくなるような兵器が考案されていました。
その兵器の名前とは「氷山空母」。
なんとカナダから巨大な氷山を切り出してきて、巨大な氷を空母の代わりにするというものです。
それではさっそく紹介していきましょう!
By 不明 – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
イギリスが氷山空母を提案したのは第二次世界大戦中。
当時のイギリスは空母や護衛艦が不足していた上に、ナチス・ドイツの潜水艦であるUボートの脅威に晒されており海洋上の航空基地ともなる空母の開発が急務でした。
そこでイギリスは巨大な空母の開発を検討しますが、問題となってくるのが製造費。
巨大な空母は莫大な製造費がかかるため簡単作れるものではなく、イギリスはどうやって製造費を抑えるかについて考えるのですが、その結果提案されたのが「氷山空母」。
カナダから氷山を切り取とってイギリスまで運び、その氷山を加工して全長約600メートル、幅100メートルという超巨大な空母を作ろうと考えたのです。
この計画を考案したのは当時の海軍大佐である「ルイス・マウントバッテン」発明家である「ジェフリー・M・パイク」であり、後に「ハバクック計画」と呼ばれるようになります。
ハバクック計画にGOサインを出したのは当時の首相であるウィンストン・チャーチル。
チャーチルはマウントバッテンとパイクが提案した氷山空母に7,000万ドルの予算と8,000人の人員を導入し、8か月間にわたって開発を進めるよう指示します。
そして、この氷山空母のメリットは何といっても氷でできているという点。
一見、夢物語の様にも思えるハバクック計画ですが、氷の中に木材パルプを混ぜる事で氷の強度を上げる事にも成功し、氷は海水より比重が軽いため沈むことが無く、氷山空母は完成すれば不沈艦になるとまで言われていました。
また攻撃を受けた際に破損しても、その場で海水吸い上げて凍らせることで瞬時に修復が可能で当時では画期的な船として期待されていたのです。
開発者たちの間では不沈艦として開発が進められていた氷山空母ですが、開発が進むにつれて重大な欠点が浮き彫りとなってきます。
その欠点とは「氷が溶けてしまう」という点。
何をいまさらと思うような事ですが、この氷山空母の最大の弱点は熱であり海上で運用するには氷が解けないようにしなければならず、そのためには大量の冷凍機が必要となりました。
しかも冷凍機自体が熱を出しますし、当時では主流だった発熱性の高いボイラー製のスクリューも使用できず、仮に故障などで冷凍機が止まってしまうと攻撃を受けていなくても、いずれそのうち溶けて沈んでしまうのです。
また氷の強度については材木パルプを混ぜる事で解決したように思えますが、材木パルプを氷に混ぜるためには氷を一度解凍しなければならず、カナダから氷山を運んでくるメリットすら失われてしまいます。
そして7,000万ドルの予算と8,000人の人員を導入し一時期は小規模な試作船も作っていたハバクック計画ですが、最終的に導き出された答えというものが
「氷山空母を作るなら、同じコストで同規模の空母が普通に作れる」
というもの。
そして最終的には1943年にハバクック計画は中止になってしまったのです。
低価格な空母を作ろうとした結果、最終的には8,000万ドルを無駄にする結果となった「氷山空母」。
着眼点としては非常に面白い空母ではありますが、なぜもっと早い段階で決定的な欠点がある事になかなか気づけなかったのが不思議ですね。
やはり戦時中は欠点もある程度は目をつぶらなければならない程、切羽詰まるものがあったのかもしれません。
ちなみに発明家のパイクは氷山空母が中止になった後は、敵艦に氷水をかけて相手を凍らせるという兵器を考案しており、氷にかなりご熱心だったという記録も残っています。
むしろクビになっていなかったのが少々驚きですね……。
元々はインドア派だったが、体力の衰えを感じはじめたため、体を動かす趣味を探してサバイバルゲーム初参加。
それ以降というものサバイバルゲームの魅力と銃の魅力にひきつけられ、今では猟銃免許や狩猟免許まで手を出して本物のショットガンを背負って山でイノシシやシカを追うまでに。サバゲーやアウトドアの魅力を知ってもらうために今日も熱意執筆中。
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