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2018/06/28

笹木恵一

ULTRAMAN ~ウルトラマンとは何か?~

今回紹介するのは2004年公開の『ULTRAMAN』。監督はこれ以前に平成ウルトラマン映画でも監督を務めた小中和哉。出演は“ハムの人”でお馴染みの別所哲也。ヒロインには遠山景織子。主人公の上司役で草刈正雄も出演しているぞ。また今作は防衛庁からの協力を得られており、本物のF-15が撮影に使用されている。

出典:Amazon Prime Video

ストーリー

航空自衛隊の戦闘機乗り真木舜一は、息子の病をきっかけに次の任務を最後に除隊することを決意していた。その最後の任務中、真木の戦闘機と宇宙から飛来した巨大な球体が激突。奇跡的に生還し、民間の航空会社に勤めながら家族と過ごす幸せな日々を送っていたのもつかの間、ある日の仕事中に陸上自衛隊から拉致され監禁されてしまう。なんと以前球体と接触した際に、未確認生物に体を乗っ取られてしまった恐れがあるのだという。さらに真木以外にも同じ体験をした人物は怪物化し逃走したらしい。そんな真木に引き付けられるかのように自衛隊の基地に最初の怪物“ザ・ワン”が出現、自衛隊の兵器も全く役に立たず、まるで最初からそれが目的であったかのように真木に襲い掛かる。そのとき真木の体に異変が起こる。真木は異形の怪物に変身しザ・ワンを追い払う。しかしザ・ワンと違い、真木は怪物化しても人の心を失わず、その力を他の人間を守るために使ったのだ。再び襲い来るザ・ワンに対抗できるのは“ザ・ネクスト”と呼び名のついた真木しかいない。新宿を舞台に再び2体の怪物が激突する!

レビュー

1966年の初代ウルトラマンを2004年当時の現代風リメイクを試みた作品ではあるが、こんなことを言っては身もふたもないのだが今の目線で見ると脚本や演出、特に作品世界のリアリティラインに時代を感じる。オリジナルにおいてウルトラマンは神として描かれていた。人々は彼を見上げ、その強大な力は大自然の脅威の前に消えゆかんとする命を救い上げる。そんな神の力を手に入れた人間の男の物語でもあった。ところが今作では主人公は己に与えられた力と新しい姿から、家族や社会と断絶され、二度とそこへ戻れないかもしれないことに恐怖する、まさに『異形』として描かれる。敵の怪獣も同様、元は普通の人間だった者が二度とこちら側に戻ってこれなくなった、主人公の負の側面として描かれる。そんな彼らの帰りを信じて待ち続ける、または二度と帰ってこないものとし自らの手で引導を渡さんとする周囲の人々。設定や脚本、キャラクターの配置はオリジナルのウルトラマンというよりも、当時大人子供を問わず人気を集めていた平成仮面ライダーシリーズからの影響を強く感じる。実際ビルを背景にした巨大な怪獣バトルの他に、人間大の怪人同士のシーンも印象深く、この当時いかに日本の特撮シーンを仮面ライダーシリーズが担っていたかということが伺える。
時代に寄り添ったつもりだったかもしれないが、今作は興行成績的にも振るわず、この続編として制作されたテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』の人気もイマイチなものとなり、次作の『ウルトラマンマックス』では従来の明朗快活な作風に戻る。
この時代に新しい可能性を模索していた頃のウルトラマンの歴史の一ページとしてご覧になってみてはいかがだろうか?

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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