- コラム
GODZILLA 星を喰う者-お前だけには絶対負けない!-
2018/11/15
笹木恵一
すごいー! たーのしー!
2018/05/31
笹木恵一
現在公開中のアニメ映画『GODZILLA 決戦起動増殖都市』は、昨年11月に公開された『GODZILLA 怪獣惑星』の続編で、全三章からなるこの通称アニゴジの第二章にあたる。
監督は前作に引き続き静野孔文と瀬下寛之。脚本はお馴染み虚淵玄に加え今作から村井さだゆきと山田哲弥が加わっている。出演声優は宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、諏訪部順一に加え、今回から小沢亜季と上田麗奈が不思議な双子の少女役でキャスティングされている。
公開前から今作では対ゴジラ兵器としてシリーズお馴染みの“メカゴジラ”が登場するという事で、過去作の同名怪獣(メカ)のイメージとは全くかけ離れたデザインが公開されるや否や、その活躍ぶりが期待されていたが果たして……?
(※注意:以下ネタバレを含みます)
出典:増殖都市(http://godzilla-anime.com/)
前作で2万年後の地球に降り立った地球人、エクシフ、ビルサルドの3種族の人間達の部隊は、身長300メートル級の超巨大ゴジラに遭遇し、ほぼ壊滅状態に陥る。生き残ったハルオ含む数名は人型種族の双子の少女と出会い、彼女たちとその種族の居住区となっている地下世界へと導かれる。彼らの使用している矢じりが、2万年前にゴジラを倒すために建造されたメカゴジラに使用された金属“ナノメタル”であることが発覚。ナノメタルは周囲の物質を取り込み、成長を続ける特殊な金属で、メカゴジラがまだ存在しており、2万年経ってもなお成長を続けていたのだ。発見されたメカゴジラはもはやロボットではなく巨大な要塞都市“メカゴジラシティ”と化していた。ハルオ達はこれにゴジラをおびき寄せ今度こそ抹殺せんと作戦を決行する。しかしゴジラを倒したいという同じ使命を持ちながら、まったく異なった倫理観を持つ種族同士の結束に歪が見え始めていた。
さて何から話せばいいか、まずこの作品を見て多くの人が持つ感想といえば……
「メカゴジラ出ねぇじゃん!!!」
いや厳密には出ているのだが、宣材写真等で見られたメカゴジラの姿ではなく、今回は完全に要塞都市の姿になってしまい、多くのファンが想像したゴジラとの怪獣バトルは全く描かれることはなかった。前作の時点でこのシリーズでは今までのゴジラシリーズとはやりたいことが違うのは伝わっていたので、今作に関して怪獣バトルは期待してはいなかったが、やはりイメージ通りのメカゴジラが登場しないのは期待はせずとも予想を大きく裏切られた形といえる。ゴジラというブランドに何を求めるかによって、人によっては今作にがっかりする方も多いとは思うが、個人的には面白い試みと感じた。特に意志を持った巨大要塞とゴジラの対決というコンセプトは80年代末に一度企画されるも、当時の特撮技術で表現するのは困難とされ没になった経緯があるので、アニメだからこそ描ける内容だろう。……が、それでも戦闘シーンが面白みに欠けていたと言わざるを得ない。メカゴジラの要塞化というアイディアは良いが、描かれるのはビルからニョキニョキと生えた大砲でゴジラを撃ちまくるだけ。物理的な制約がないアニメだからこそ特撮ではできない描写を期待していたが、ゴジラと大砲の戦いは第一作目から何度も何度も見てきているので面白くはない。その前のシーンでキャラクターによって語られるナノメタルの特性や、進化したナノメタルが巨大なトゲを突き出して小型怪獣を串刺しにするシーンに、これがゴジラ並の大きさになったらという期待を煽られていたのもガッカリ具合に拍車をかけている。今回から登場する中型飛行ロボットのバルチャーも、メカデザインのカッコよさは認めるが、空を飛び回るだけになってしまい前作の飛行バイクとあまり変わり映えがしない。しかも前作ではそれが大隊を組んでわらわら飛んでいたのだが、今作ではたったの三機しかいないのでハッキリ言ってグレードダウンだ。良かった点といえば300メートル級のゴジラの鈍い動きが巨大感をよく表していたことと、ラストの真っ赤に燃え上がるゴジラの姿がカッコよかったぐらいか。
さてアクション描写に関しては少々苦しい今作だが、一方ドラマパートは退屈だった前作と比べて格段に良くなっている。登場人物も少なくなったおかげでキャラクターの一人一人が個性的に描かれていて好感が持てた。特に育った環境、倫理観、イデオロギーの違う種族同士が協力して一つの目標に向かっていく際に見えてくる歪、もしくは表面的には違う者同士でも根幹の部分では同類なのかもしれないと思わせる人間模様は虚淵脚本の真骨頂と言えよう。
人間ドラマに重点が置かれアクションシーンには難が残る、もしくはその解釈自体が従来のゴジラファンの中には受け入れがたい方もいるであろう今作。個人的には今までのシリーズではできなかった領域に踏み込もうとしているその意気込みにはむしろ好感が持てる。是非自分の目でご覧になって判断していただきたい。
幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。
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