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2018/05/29

Gunfire

伍長の階級を持つクマの兵士「ヴォイテク」!第二次世界大戦で英雄となったヒグマとは!

軍隊が索敵や探索のために、調教した犬を軍用犬として採用しているのは有名な話ですが、かつての第二次世界大戦時に、犬ではなくヒグマを従軍させていた国があるのをご存じでしょうか

しかも、そのクマの兵隊は軍用犬のような動物としての扱いではなく、軍人手帳や軍籍番号を与えられ、本当の軍人として扱われており伍長の階級も与えられていたと言われています。

そこで今回はそんな今では考えられないようなクマの兵隊について紹介していきたいと思います。

■ポーランドに従軍していたクマの兵隊「ヴォイテク」

Wojtek the bear.jpg
By Imperial War Museum – POLISH FORCES DURING THE SECOND WORLD WAR, パブリック・ドメイン, Link

今回、紹介するクマの兵隊の名前は「ヴォイテク」。
第二次世界大戦時にポーランド軍に従軍していたシリアヒグマです。

ポーランド軍は1942年にエジプトに向けて進軍を行っていたのですが、その道中のイランで生後間もない死にかけのシリアヒグマを見つけます。

そして兵士達は何を思ったのかその子熊を軍隊に迎え入れ、ペットのように飼い始めたのが事の始まりといわれています。

拾われた当時の子熊は固形物すら食べる事ができないほど弱々しい状態だったのですが、空き瓶と布で安易なほ乳瓶を作ったり、専用の寝床を用意してやったり、兵士達の懸命な世話によりすくすくと成長していきます。

兵士達はこの子熊に「ヴォイテク」と名付け、次第にヴォイテクは部隊のマスコット的存在になってゆきます。

また、軍隊の中で育ったヴォイテクは兵士達と寝起きを共にしていたせいか、敬礼を覚えたり、兵士達とレスリングやしたりと、まるで中に人間が入っているような非常に賢いヒグマに成長し、決して人間に怪我をさせることは無かったそうです。

■正式に軍籍を与えられた「ヴォイテク」

それまではペットとして扱われていたヴォイテクですが、本当の軍人のように扱われるようになったきっかけは1944年に起きたモンテ・カッシーノの戦い

当時、ヴォイテクがいた部隊はエジプトに滞在していたのですが、モンテ・カッシーノの戦いに参加するためにエジプトから航路でイタリアに向かう事となります。

しかし、この頃のヴォイテクは身長2メートル、体重は200キロを超える成体に成長していた上に、船で動物を輸送するのが禁止されていたためヴォイテクだけが乗船を拒否されてしまったのです。

そこでヴォイテクをどうしても連れていきたかったポーランド軍は乗船名簿にヴォイテクの事を「ヴォイテク伍長」とまるで人間であるかのように記載して乗船させようとしたのです。

しかし残念ながらこの作戦はヴォイテク伍長が受け付けに現れない事が理由で、あっさりとバレてしまいます。

そこで次に取った行動は素直に将軍にお願いするという方法。

すると、なんと第2軍団司令官であったアンデルス将軍はヴォイテクに対して軍人手帳と軍籍番号を発行した上に、伍長という階級を与え本当の兵士として認めたのです。

その結果。ヴォイテクは無事に部隊のみんなとイタリアに出発する事ができたのです。

■モンテ・カッシーノの戦いで英雄となった「ヴォイテク」

Wojtek soldier bear.png
By Pernambuko投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

軍隊と共に育ってきたヴォイテクですが、これまでは激しい戦闘に巻き込まれたことが無く、ヴォイテクにとって今回のモンテ・カッシーノの戦いが初めての本格的な戦闘となりました。

部隊の兵士たちはヴォイテクが爆発音や砲弾の音に恐怖を感じてしまうのではないかと心配していたようですが、ヴォイテクは爆発音や砲弾に臆すること無く堂々としており、時には木に登って自分から戦地を見回していたという話もあります。

また、ヴォイテクは補給部隊の兵士がトラックに弾薬を積み込んでいる姿をみて、自ら兵士達と同じように弾薬を運ぶのと手伝ったり、時には前線の兵士達のために砲弾を届けて命を救ったりと英雄的働きを見せたと言われています。

そしてモンテ・カッシーノ戦が終結した後はヴォイテクの人気や功績が認められ、部隊の紋章が砲弾を持つクマの紋章に変更され、ポーランド軍にとって英雄的存在になっていったのです。

■まとめ

Niedziwedz Wojtek pomnik park jordana krakow.JPG
By Skabiczewski投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link

現代ではクマに軍籍を与えるなんて事は絶対あり得ない事だと思いますが、昔の人たちは物事に対して割と寛容だったのかもしれませんね。

ちなみにヴォイテクは終戦後、エディンバラ動物園に預けられ22歳でこの世を去っています。

ヒグマの寿命が20歳から30歳と言われているので天命を全うしたのではないでしょうか。

今となってはおとぎ話のような不思議な話ですがヨーロッパ、特にポーランドでは未だに兵士達の間で根強い人気があり、英雄として語り継がれているようです

Gunfire

元々はインドア派だったが、体力の衰えを感じはじめたため、体を動かす趣味を探してサバイバルゲーム初参加。
それ以降というものサバイバルゲームの魅力と銃の魅力にひきつけられ、今では猟銃免許や狩猟免許まで手を出して本物のショットガンを背負って山でイノシシやシカを追うまでに。サバゲーやアウトドアの魅力を知ってもらうために今日も熱意執筆中。

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