- コラム
ミリタリー偉人伝「帝国海軍最大のギャンブラー」連合艦隊司令長官・山本 五十六
2018/05/21
菅野 直人
すごいー! たーのしー!
2018/05/16
菅野 直人
第2次世界大戦に負けて以来73年、未だに日本各地に存在する「在日米軍」の基地ですが、土地の返還問題や住民に対する騒音や治安問題、さらには事故など安全性も含めさまざまな問題によって対米感情悪化の原因になっています。もちろん東日本大震災での災害派遣出動「トモダチ作戦」で助けられた人も多いので、一口に「米軍基地反対!」とだけでは済まされない複雑な感情もありますが、その必要性や役割について、一度振り返ってみましょう。
在日米軍は、第2次世界大戦の敗戦を認めた日本がアメリカ軍を中心とした連合国軍による占領を受け入れた1945年以降、1952年のサンフランシスコ平和条約で日本が独立を回復して以降も駐留を続けているアメリカ軍のことです。
1950年に勃発した朝鮮戦争では国連軍の基地でもあったため、現在でも朝鮮戦争の国連軍に関わった各国が利用することもあります。
基地を置いているのは米軍だけで、必要に応じてその他各国も利用する形ですが、では在日米軍基地はいくつあるでしょうか?
国内に100カ所を超える米軍施設がありますが、大規模な米軍専用施設となると以下の通りです。
青森県:三沢基地、八戸貯油施設、三沢対地射爆撃場
埼玉県:所沢通信施設、大和田通信所
千葉県:木更津基地
東京都:府中通信施設、横田基地、硫黄島通信所
神奈川県:厚木基地、キャンプ座間、横須賀軍港と関連施設
静岡県:沼津開閉訓練場
京都府:経ヶ岬通信所
広島県:灰ヶ峰通信施設、呉軍港と関連施設
山口県:祖生通信所、岩国基地
福岡県:板付基地(福岡空港)
長崎県:佐世保軍港と関連施設
沖縄県:普天間基地、嘉手納基地、那覇軍港と関連施設、その他海兵隊関連施設多数
旧ソ連との有事の際には最前線となりそうな北海道と新潟県、対馬などに意外と主な施設が無い(北海道は多数ある自衛隊施設を有事に共用するという形)一方で、首都周辺と西日本に集中していることがわかります。
これは対ソ戦となっても最前線で第一撃をやり過ごす、朝鮮戦争に対処するといった目的のほかに、長く米軍占領下で日本に返還されなかった沖縄県の歴史的経緯などが関連していますが、アメリカの世界戦略に組み込まれ、都合のいい場所に基地があるのも確かです。
この中でもさらに重要かつ大規模、米軍の人員も多い、つまり日本国内の生活環境に与える影響の多い基地を解説します。
By USAF – USAF http://www.af.mil/shared/media/photodb/web/060718-F-3488S-015.jpg, パブリック・ドメイン, Link
日本最北端の米軍重要施設は何と言っても青森県の三沢基地で、1970年代には一時期米空軍の常駐部隊がいないこともありましたが、1985年に当時最新鋭のF-16戦闘機が配備されて以降、現在も2個飛行隊を隷下に持つ米空軍のF-16戦闘機1個航空団が展開しています。
元々が「基地の町」で、騒音や治安などが悪化しない限り、むしろ市の産業として軍事基地を許容する傾向にある同地では、米軍撤退や航空自衛隊の誘致などの綱引きが行われた経緯もあって、大規模な反対運動も受けずに条件面の折り合いのみで再び米軍の要衝となりました。
朝鮮戦争以来、朝鮮半島ににらみを利かせる有力な後方支援基地であると同時に、旧ソ連 / ロシアが北海道侵攻などを行った場合には、それにも対処する二重の意味で重要な備えとなっています。
ただし、1980年代末に冷戦終結以降は対ソ連・対ロシアとしての役割が低下し、「少なくともロシアがいきなり攻めてくることは無さそうだ」となって以降は、主に北朝鮮に対する最前線基地のひとつ、という役割です。
2018年5月現在は北朝鮮情勢が大きく揺れ動いていますが、仮に朝鮮戦争での平和が実現した場合、最低でも縮小を避けられない在韓米軍に代わって、一層重要度が増す可能性の方が高くなります。
パブリック・ドメイン, Link
第2次世界大戦以降のアメリカ海軍、つまり世界の海軍で最強の艦隊、アメリカ海軍第7艦隊の基地であり、世界で唯一アメリカ本土以外での原子力空母の母港であり、旗艦ブルー・リッジも母港としているのが横須賀基地です。
それも横須賀軍港では1940年代に大和級戦艦3番艦“信濃”を建造した六号ドックで空母も含む大型軍艦の整備から回送まで可能な高い能力を持つためで、最初に母港とした通常動力空母“ミッドウェー”の大改装まで担当しました。
現在も原子力空母ロナルド・レーガンや巡洋艦、駆逐艦などが母港とするほか多数の船舶が出入りしており、朝鮮戦争における国連軍地位協定を利用したオーストラリア海軍やカナダ海軍、イギリス海軍の艦艇なども整備を行うことが可能です。
朝鮮半島情勢はもちろんのことですが、南シナ海や東シナ海で中国海軍の脅威が増す中、これを包囲するようにアメリカ海軍以外の利用も増えており、空軍の横田基地とともに日本の首都圏における米軍を中核とした“太平洋をコントロールする連合軍”の拠点であり続けるのは確実と言えます。
日本の海上自衛隊も呉(広島県)とともに横須賀を二大拠点としており、世界でも屈指の海軍拠点としての立場は、今後しばらく変わりそうにありません。
By United States Navy – http://www.navy.mil/view_image.asp?id=15091
http://www.navy.mil/management/photodb/photos/040614-N-0119G-020.jpg, パブリック・ドメイン, Link
かつての対ソ冷戦時代と異なり、近年その重要度を急激に増しているのが長崎の佐世保軍港と広島県の岩国基地です。
佐世保には主に朝鮮半島有事を想定した米海軍の両用戦(上陸戦)艦艇が母港としているほか、かつて原子力空母エンタープライズが寄港したことや、大型艦の整備が可能なドックもあることから、その気になれば米空母の母港化も可能な高い能力を持っています。
そして米海兵隊に加え、米海軍の空母艦載機も同居するようになった岩国基地は、まさに朝鮮半島有事の際に真っ先に日本から援軍に駆け付ける航空機の揃う最前線基地。
中国にも睨みを利かせるという意味で、「東の三沢、西の岩国」と呼べる重要度を持っています。
朝鮮半島情勢が安定したとしても、対中国戦略における重要拠点として、あまりに最前線に近すぎる沖縄の嘉手納基地のバックアップとしても、西日本でもっとも重要度の高い米軍基地かもしれません。
By 投稿者自身による作品 – File:Military facilities on okinawa.gif, CC 表示-継承 3.0, Link
さて問題は沖縄です。
ここは米空軍嘉手納基地に加え、普天間基地その他、米海兵隊の地上部隊が多数駐屯しており、ただでさえ土地の狭い沖縄県の1割近い面積を米軍基地と関連施設が占めます。
第2次世界大戦中の1945年4~6月、激戦となった沖縄戦で県民多数が犠牲になっただけでなく、猛烈な砲爆撃や地上戦で更地も同然になった土地には、米軍基地が多数設営されました。
戦後になって、収容施設から解放された沖縄県民は「自分たちの土地に米軍基地ができていて、立ち入りすら許されない」という現実に唖然としますが、仕方が無いので基地周辺へ居を構えて市街地を形成し、今に至っています。
1972年に沖縄県が日本に復帰して以降、さすがに核兵器が配備されたり米軍の爆撃機がベトナムに出撃することは無くなりましたが、それでも対朝鮮半島、対中国作戦の重要拠点であることには変わりません。
ただし、米海兵隊の地上部隊となると沖縄防衛というより「単なる拠点化」しており、訓練や移動の都合で便利だから沖縄を基地にしている印象が強く、対中国戦略においても例えば南西諸島のどこかが占領された時、米海兵隊が奪還に出動するとは思えません。
中国との正面切った衝突を避けて自衛隊に任せ、米軍は支援の立場になるなら米海兵隊は何のためにあるの?ということになり、軍事敵必然性の上でも沖縄でなければならない、という理由は希薄です。
そのため、グアムへの撤退や沖縄以外の日本本土展開議論も未だに根強いのですが、人間誰しも「一度便利だと思ったところからはなるべく引っ越したくない」もので、実現にはまだ時間が必要でしょう。
宮城県の王城寺原演習場など、沖縄県の負担軽減目的で演習のため海兵隊がたびたび利用していますし、東日本大震災におけるトモダチ作戦の影響もあって、東北では米軍への忌避感もさほどではありません。
「世界戦略の拠点としては、日本の国内事情に影響され過ぎる」など、米海兵隊の都合もあるかもしれませんが、沖縄の負担軽減としては適地に思える東北への移転は、もっと議論されて良いように思えます。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。
撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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