- コラム
サバゲー的映画レビュー・第一回「プラトーン」
2016/11/19
ヴィスコ
すごいー! たーのしー!
2018/05/3
笹木恵一
今回紹介するのは実在した強盗カップル、ボニーとクライドを描いた傑作『俺たちに明日はない』。監督はこれまたアメリカン・ニューシネマの傑作『小さな巨人』のアーサー・ペン。主演はボニー役をデビュー間もないフェイ・ダナウェイ、クライドはハリウッド一のモテ男ウォーレン・ベイティが演じている。ベイティは元々プロデューサーとしての参加だったが、クライドのキャスティングが難航し最終的に主演を兼任することとなった。脇を固める出演陣もジーン・ハックマン、マイケル・J・ポラード、ジーン・ワイルダー、エステル・パーソンズ等名優ぞろい。ちなみにダナウェイのスタンドイン(カメラの位置決めをする際の出演者の代役)を若き日のモーガン・フェアチャイルドが務めている。
1930年代前半、大恐慌時代のアメリカ。ウェイトレスのボニーは平凡な毎日に飽き飽きしていたが、強盗を名乗るクライドと出会い、目の前で彼が強盗を働くのを見てその姿に魅了されてしまう。盗難車を乗り継いでは行く先々で銀行強盗を働き旅を続ける二人。すっかり国中のお尋ね者となったものの、一般市民の金には手を出さないという信条から新聞は二人をもてはやし、市民からは義賊的な扱いを受け、ちょっとしたヒーローと化す。しかし一度は二人を取り逃がし、彼らを快く思わないテキサスレンジャーのヘイマーの罠が二人を待ち構えていた……
以前も言及した“アメリカン・ニューシネマ”の元祖とされている今作はハリウッド映画における革命的作品だった。当時のハリウッドではセックスやバイオレンスはご法度だったのだ。銃で撃たれた人間は殆ど血を流さずに倒れるだけ、ひどいときは体に傷ひとつなく死んでいくのがあたりまえだった。男女の関係もあくまでプラトニックなもので、セックスを明確に描くことは許されなかった(どう考えたってヤってるだろうとしても)。当時のハリウッド映画の登場人物たちは身体性のない、虚構の肉体しかもっていなかったのだ。それが今作では撃たれれば当然だが血を流し、マシンガンでハチの巣にされてしまう。愛し合う男女は明らかにセックスを試みる、そして明らかにそれが成されたことが観客に伝わるのだ。さらに今作は男女のセックスを描くだけに飽き足らず、明確に言及されてはいないものの、同性愛を仄めかす描写にまで踏み込んでいるのだ。同性愛に対する理解が広まった現代とは違い、当時は当然迫害の対象であり、犯罪とまでされていた国や地域が当たり前にある時代である。こんなに前衛的で、こんなに尖った、こんなに残酷な今作は、当時映画から離れていた若者たちを映画館に呼び戻すことに成功した。これ以降ハリウッドはアメリカン・ニューシネマの時代に突入し、単なる娯楽作品ではない、強いメッセージ性や作家性を持つ前衛的な作品多く排出されることとなった。
現在では当たり前だと思っているものが、そうではなかったこともある。時代をたどれば確実にそのきっかけとなったポイントがある。今作は映画におけるそのきっかけとなった作品だ。もちろん歴史的背景抜きにしても大変に面白い映画なので、ぜひご覧いただきたい。
幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。
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