『戦国自衛隊』～自衛隊　VS　戦国武将が夢の対決！～

戦国自衛隊は1979年に公開されたSFアクション映画。監督は斎藤光正、主演は日本が世界に誇るアクションスター千葉真一。そのほかジャパンアクションクラブから多数のアクション俳優達が出演している。

あらすじ

伊庭三等陸尉率いる21名の陸上自衛官及び海上自衛官が演習中に原因不明の超常現象で、戦国時代にタイムスリップしてしまう。彼らが最初に出会ったのは、長尾景虎こと後の上杉謙信だった。伊庭と景虎は生まれた時代は違えど、共に戦いに身を置く男同士意気投合し熱い友情で結ばれる。途中伊庭に反感を持つ矢野陸士長率いる、ならず者自衛官たちが武器と食料を盗んで逃亡し農民の村を襲って強姦を繰り返すという傍若無人を働くが、伊庭は部下と共に彼らを射殺する。一向にタイムトラベルの原因も、現代に帰る方法もわからない彼らにある仮説が持ち上がる。それは歴史をゆがめることで、正常な時間の流れを保とうとする反動で現代に戻れるのではないかと。そして彼らは歴史を大きくゆがめることを決意する。景虎と共にこの時代で天下を取るという方法で！

レビュー

千葉真一芸能生活20周年及びジャパンアクションクラブ（JAC）発足10周年記念作品として制作された今作。日本を代表する最強アクション俳優集団が誇る生身のアクションを存分に堪能することができる。しかもそれが自衛隊VS戦国武将という一度妄想してしまうと誰もが現実に帰って来られなくなってしまうようなシンプルかつ楽しすぎるテーマで魅せてくれるのだからたまらない。普通に考えれば近代兵器で身を固めた自衛隊の圧勝かと思いきや、リアルな戦国の世を生き、命をも惜しまないナチュラルボーンソルジャーな侍たちの、地形を生かした巧妙な戦法、豊かさというぬるま湯に浸かった現代人が忘れた野獣のごとき勝利への執着心、そして何よりも圧倒的な数の暴力が自衛隊を地獄の底へと追い詰める！子供だろうが何だろうが殺るか殺られるかの日常に身を置く甘え成分0％の戦士たちの非常かつ野蛮な戦い方は、観る者すべてが忘れてしまった熱き魂を掻き立てる。
アクションだけではない。時に冷たく、時に熱いドラマが全編通して展開される。この映画で悪役として描かれる矢野の抱く伊庭への愛憎入り混じる感情は、多くは語られないものの、かつて彼にとって伊庭という男がどれだけ敬愛し特別な男だったかという事がひしひしと感じとられる。そんな古き友を自らの手で葬った伊庭は、生きることの無情さ、はかなさを感じたのだろう。表向きは現代に変えるためとは言っているものの、彼の眼に映っているのは紛れもなくこの戦国の世で天下統一に向かって己の熱き魂を開放することただ一点だけなのだ。今なお語り継がれる伝説のシーン、あえて言おう「景虎とのデートシーン」は日本映画史に燦然と輝く、これ以上にない愛と生きる喜びにあふれたラブシーンといえるだろう！

戦国自衛隊、それは生の喜び、純粋な魂の姿というものをフィルムに焼き付けた映画といえるのではないだろうか！