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2018/01/18

笹木恵一

44マグナムが火を放つ! 伝説の鬼刑事ダーティハリー

『ダーティハリー』は1971年に制作された名作映画だ。監督はドン・シーゲル。主演は今作が出世作となったクリント・イーストウッド。
出典:Amazon Primeビデオ

大まかなストーリー

サンフランシスコで一般市民を狙った連続狙撃事件が勃発、犯人は“スコルピオン(さそり座の男)”を名乗り、市に対して10万ドルを要求、さもなくば次のターゲットを殺すと。犯罪を憎む鬼刑事ハリー・キャラハン、通称“ダーティハリー”が事件の調査に乗り出すも、あと一歩のところで犯人を取り逃がす。さらにスコルピオンは少女を誘拐し監禁、市はスコルピオンの要求に応じ金を用意しキャラハンに受け渡し人が任されるが、キャラハンは相棒チコと組んでスコルピオンを罠にはめるもあと一歩のところで取り逃がす。しかしそこから犯人の居場所を絞りだし遂に追い詰め逮捕するが『ミランダ警告』がなされてないと審判が下されスコルピオンは無罪となってしまう。さらにスコルピオンはキャラハンから不当に暴行を受けたとマスコミを通じて訴えかけ、キャラハンは刑事としての動きを封じられてしまう。キャラハンの捜査の手から解放されたスコルピオンはスクールバスをジャックし、子供たちを人質に取り市に対し身代金を要求。そのとき司法からも世論からも見放されたキャラハンがとった行動とは!?

解説

制作当時の70年代初頭はアメリカ映画業界が『アメリカンニューシネマ』というムーブメントの真っただ中だった。赤狩りの傷跡やベトナム戦争への軍事介入により若者たちの間で反社会意識が高まっていた時代。映画は勧善懲悪のハッピーエンド、夢と希望を提供することが難しくなり、反体制的な作品が数多く制作されていた。それらの作品群では、正義の1個人が体制によってつぶされていくという共通したテーマがあった。今作でも正義の鬼刑事キャラハン刑事は犯人よりむしろ自分が守るべく法の側によって追い詰められていく。またアメリカ映画等でよく耳にする警察が犯人逮捕の際に告げる「お前には黙秘権があり、弁護士をつける権利がある~(以下略)」という『ミランダ警告』が確立され間も無いころでもあり、容疑者の人権保護が問題視されている時代でもあった。さらにこの映画製作の数年前、現実にサンフランシスコで『ゾディアック』を名乗る犯人による連続殺人事件が起こっており本作のモチーフとなっている。このように本作は不安な時代の様々な要素が一つになって誕生したのだ。

44マグナム?

S&W Model 29 comparison.jpg
By Mike Cumpston – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link

サバゲーアーカイブの記事としては、この言葉に触れないわけにはいくまい。本作によって世界中に『44マグナム』という名称が広まり、以降あたかも主人公が使用する銃を指す言葉として認識されるようになってしまうが、ご存知の通りこれは銃ではなく銃弾の種類を指すものであり、作中でキャラハンが使用する銃の正式名称は『S&W M29』である。さらにこの弾は本来狩猟用であり、間違っても街中で人に向かって撃つものではない。その威力はすさまじく、劇中のように片手持ちで撃とうものなら肩が外れてしまうだろう。また撃たれた側もただでは済まない。劇中でこれを受けた犯人達も十分大怪我しているように見えるが、現実はもっと悲惨だ。本来なら足なんか一発で吹っ飛んでしまうだろう。

銃の描写としてはいささか甘いところが見受けられるかもしれないが、脚本、演技、撮影技法等どれをとっても現在も決して色あせることのない大傑作であることは間違いない。未見の方はぜひご覧になっていただきたい一本だ。

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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