- コラム
北朝鮮情勢『あまりにも不可解な韓国の行動は、不安定要因を作りたいどこかの国が後ろにいる?』
2019/02/4
菅野 直人
すごいー! たーのしー!
2017/12/20
菅野 直人
相も変わらず小ネタを出してはなかなか進展しない北朝鮮情勢ですが、むしろ騒いでいるのは周りの方とも言えて、ついに2017年11月には日本海に米原子力空母3隻が揃い踏み。トランプ米大統領のアジア歴訪や、日本海沿岸へにわかに複数の北朝鮮からの小舟が流れ着くなど不気味な情報もありますが、さてそれらの関連性や、今後の予測は。
By Shealah Craighead – https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/10/31/white-house-releases-official-portraits-president-donald-j-trump-and, パブリック・ドメイン, Link
2017年11月5日、トランプ米大統領はアジア歴訪の最初に就任後初の訪日を選び、来日しました。
就任以来その言動や振る舞いがネタになることも多いトランプ大統領だけに、今回も池の鯉へのエサやりや安倍総理とのゴルフなど「割とどうでもいいゴシップネタ」が目についたものの、重要な話題はもちろん別。
横田基地へ到着早々、「いかなる独裁者も、米国の決意を軽視すべきではない」と北朝鮮をけん制するとともに、「同盟国とともに、米国を守るため圧倒的な能力を行使する用意がある」と、強気の演説を行いました。
対する北朝鮮も心得たもので、「米国はわれわれにいかなる変化も望んではならない」と朝鮮労働党の機関紙“労働新聞”の論絶でやり返す。
ここまで来るともはやプロレスのリング上でマイクパフォーマンス合戦をやっているようなもので、果たしてどちらもどこまで本気やら? と疑問が生じるところ。
日本に続き韓国はおろか中国にまで「アメリカ製品を買ってくれ」と売り込み、それに成功しているのを見ると、北朝鮮を格好のダシに商談に来たセールスマンかと思えてきます。
友人にしたいのか、悪の枢軸にしたいのか
By ウィキメディア・コモンズ 上の利用者 P388388 – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link
その一方、11月12日にはベトナム訪問中のtwitterで「私は彼(北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長)と友人になりたい。それは近く実現するかもしれない」と発言して世界を驚かせます。
しかし、11月21日には北朝鮮をイラン、スーダン、シリアに続く「テロ支援国家」へ9年ぶりに再指定。
アメとムチというか、緩急織り交ぜた外交と言うべきか、北朝鮮のキム・ジョンウン委員長に勝るとも劣らないパフォーマンスに、周囲、特にマスコミや我々コラムニストは踊らされっぱなしだと言えるでしょう。
果たして彼らの真意はどこにあるのでしょうか?
敵対しているようで通じ合っているように見える2人の国家指導者の動向には、果たして注目に値するのか、それとも聞き流した方がいいのか迷うところです。
一方、歴訪されたアジア諸国の中でも重要な韓国と中国に関して。
韓国は「あまり半島有事を煽って戦争の危機に火をつけてくれるな」とばかりの態度が目立ちますが、トランプ大統領の訪韓に応じて数十億ドルの兵器購入を約束したらしいのですが、トランプ大統領の発言なので真偽は定かではありません。
つい最近も「フィンランドがアメリカ製戦闘機を多数購入」とtwitterに書き込んではフィンランド当局が慌てて火消しに回るなど騒がせているだけに、実際はどうなのでしょうか。
ただしそれが真実だった場合、韓国が購入する兵器は対北朝鮮のみに留まらず、対日紛争で使われる可能性もあるので、日本人としてはむしろそちらを警戒した方がいいのかもしれません。
できれば兵器以外のものを買ってほしいところではありますが。
THAAD(弾道弾迎撃ミサイル)の追加配備絡みもあって中国が再び抗議の動きを強めているだけに、そのストレスの矛先が日本に向かわないよう祈るのみでしょう。
そして中国に至っては、何と2500億ドル超という超大型商談に成功。
あくまで「予約」程度なのでどれだけ実現するかはわかりませんが、ボーイング製の旅客機やGE製のエンジン、クアルコムの半導体などアメリカ製製品を大量に仕入れることとなったようです。
確かに中国は大型ジェット旅客機を国産化していないので有意義な商談と言えますが、実際にはほとんどがトランプ台帳量訪中前には決まっていた案件と言われており、訪中に合わせた「御機嫌取り」という見方もあります。
いずれにせよこの2国が北朝鮮問題で受けた不信をかわすだけの材料を提示するのに成功したのは確かでしょう。
なお、日本でも安倍総理が同様の商談を持ちかけられていますが、これもイージス・アショア(弾道弾防衛も可能な陸上版イージス・システム)を購入しますよと返事したと言われています。
結局、トランプ大統領のアジア歴訪は、北朝鮮情勢に関して言えば両国の「パフォーマンスのタネ」に過ぎなかったかもしれず、進展の役には経ちませんでした。
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その頃、11月11日には日本海で米原子力空母3隻とそれを囲む3個機動部隊が集まり、日本の海上自衛隊や韓国海軍と合同演習を行いました。
ただし、米原子力空母のうち、横須賀を母港とするロナルド・レーガンはともかく、ニミッツは中東・インド洋方面へ展開して米本土からの帰り、エイブラハム・リンカーンはそのニミッツと後退して米本土から中東・インド洋へ向かう途上。
つまり、北朝鮮のためにわざわざ3隻を駆り出したわけではなく、ニミッツとリンカーンがちょうど入れ替わるタイミングに合わせて3隻の空母を並べてみました、というパフォーマンスにすぎません。
むしろ問題なのは海上自衛隊のヘリ護衛艦(実質ヘリ空母)「いせ」と米空母、韓国海軍のヘリコプター揚陸艦「独島」と米空母というように別々の組み合わせで艦隊行動を取る記念写真を撮影していることで、「いせ」と「独島」が同時に写るような写真はありません。
むしろアメリカの威容の陰で日韓の深い溝が際立った演習となり、半島有事でたとえ邦人救出ですら自衛隊が関わることを嫌がるという韓国の自衛隊アレルギーはいっそう強まっているのではと感じさせられました。
かの国は果たして半島有事が発生した時、そしてその後、どうするつもりなのでしょうか?
一方、当の北朝鮮といえば大きな演習やミサイルの追加発射をするまでもなく淡々とした印象です。
目立つのは地下核実験のやりすぎで実験場の坑道が崩壊しかけており、放射性物質が地上に飛び出す恐れがあるということくらいですが、ミサイル発射そのものは技術確認のルーチン的なものに留まりそうです。
そもそもこれまでも政治的意図というよりは「準備ができたので発射した」という印象の強いものでしたから、複数発射するとしても短距離弾道弾を使った通常の演習、長距離弾道弾なら技術開発の一環として1発発射する程度でしょう。
仮に、以前制限していた通り複数同時発射でグアムを囲むように着弾したり、洋上で炸裂させる核弾頭搭載弾道弾実験まで行われると大騒ぎとなりますが、現状でそこまで行うメリットがありません。
むしろ北朝鮮としては、政治的にマズイ領域まであえて踏み込まないことで「何も変わってないけど軟化を演出」というのが狙いでは無いでしょうか。
ただし気になるのは、11月13日に南北朝鮮の軍事境界線で唯一、双方の接触場所となっている板門店で突如北朝鮮の兵士が脱走を企て、それに対し北朝鮮軍の警備隊が軍事境界線を越境してまで銃撃、韓国側への逃亡を阻止しようとした件です。
詳細は銃撃を受けながらも韓国の警備隊に収容された逃亡兵士の回復を待ってみないとわかりませんが、堂々と車で板門店に現れ、そのまま逃走を図り、慌てた北朝鮮軍が越境銃撃まで行うというのは極めて異例。
何しろ38度線を越えて板門店で戦火がきらめいたのは1953年の朝鮮戦争以来と言います。
さらには11月23日に秋田県由利本荘市の海岸で北朝鮮の木造漁船が漂着、8人が救助を求めて以降、佐渡や北海道で乗員のいない同種の漁船漂着が相次いだこと。
これが亡命希望なら、ついに危惧された北朝鮮ボートピープルの始まりかという話になりますが、救助を求めた8人はいずれも何らかのトラブルで長期間漂流の末に漂着したと供述しており、単なる事故のようです。
しかし、それが2例、3例ともなると薄気味悪くなるもので、これが単なる偶然なのか何かの始まりなのか、軍事関連の静かすぎる沈黙も含めて、何か不気味な雰囲気が漂っています。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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