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2017/11/23

笹木恵一

幼女戦記 ~萌えアニメかと思いきや何だこの戦記モノは!~

出典:Amazonビデオ

最近友人からあるアニメを進められた。簡単な説明を聞いてみた時点ではミリタリーと美少女キャラクターの組み合わせというよくあるアニメにしか思わなかったのだが、これが見てみるとフィクションの戦記モノとしても非常に凝った設定かつ、海外のオタク史からも小ネタを引っ張ってくるような非常に興味深いものであった。そのアニメのタイトルは『幼女戦記

物語は現代の日本から始まる。冷酷で合理性を重視し信仰心というものを持たない中年サラリーマンが、ある日遂に神の怒りを買う。神によって、我々の住む世界と非常に似通っているものの魔法が現実に存在する異世界の20世紀初頭に『ターニャ・デグレチャフ』という幼女として転生した主人公は、その世界で生まれ持った魔法の才能を発揮し軍人となる。おりしもその世界では初の世界大戦が勃発し、ターニャはみるみるうちに頭角を現していく。異常な状況に陥ってもなお信仰心を持たず、神を『存在X』と呼び決して神と認めようとしないターニャを追い詰めるべく、神の見えざる介入が始まる。

作中で描かれる戦争は第一次世界大戦と第二次大戦を一つにしたような架空のものであるが、実際の大戦と照らし合わせてみても面白い。ヨーロッパで起きた領土問題を発端として世界大戦に発展し、途中からアメリカが参戦してくることも実際の第一次大戦と被る部分である。
非常に興味深いと感じたのは、アニメ版の最終回での戦局の変化。一度は現実のドイツにあたる『帝国』は『連合王国』『共和国』との戦いに勝利したかに思える。各国とも消耗しきってたのでこれ以上の戦闘は無意味であるため、これですべてが終わったと誰もが信じ切っていた。だが人間というものは合理性以上に怒りや憎しみに突き動かされ、時には非合理的な行動を取るものである。敵軍が再起し戦争は続行することとなる。
現実の歴史でも、第一次大戦はすべての戦争を終わらせるといわれていたが、敗戦の苦い記憶や傷跡が結果としてファシズム、ナチス政権を誕生させ、第二次世界大戦が勃発することとなった。
実際には第一次大戦の敗者であったドイツにあたる国が、今作では【勝者=敗者の恨みを買う側】として描かれているのがなんとも皮肉なものである。

アニメの最終回では現実のアメリカにあたる『合衆国』が参戦するが、その合衆国兵士として『メアリー・スー』という少女が登場する。アニメでは彼女の活躍そのものは描かれなかったが、原作において信仰心にあふれる彼女は神=存在Xから強大な力を与えられ、ターニャと退治する。
そもそも『メアリー・スー』という名前は海外のオタク業界で生まれた言葉。70年代に発行された『スタートレック』の二次創作小説に登場するオリジナルキャラクターの名前からとられた用語で、作者にとって都合のいい願望を具現化したキャラクターに対してそう呼ばれるものである。
この幼女戦記世界における創造主たる神にとって都合の悪いターニャを倒すために送り込む都合のいいキャラクターという意味で名付けられたのだろう。

幼女』という単語から単なる『萌え』アニメだと思ったら大間違い。むしろ『萌え要素が微塵もない重厚な戦記モノなので、お好きな方は是非!

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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