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2017/11/24

菅野 直人

古今東西駄作珍兵器5選

人間が拳の殴り合いから石などを投げたりして「兵器」が登場してからもう何万年になるのでしょうか? その中には無数の「珍兵器」もあったと思いますが、世界中を巻き込む大戦争、それも新技術が登場する時期こそ「珍兵器大会」でもあったと言えます。第2次世界大戦で登場したものを中心に、5つほど選別してみました。

チンなる巨大消音器~サプレッサーまたはサイレンサー(ドイツ)

※画像はイメージです。こんな形です。

最初はいきなり第2次大戦後の平気ですが、大口径の榴弾砲や戦車砲用の消音器。
銃のための消音・減音を行うものはサイレンサー、サプレッサーなどと呼ばれて刑事ドラマや狙撃兵を描いたドラマでよく登場しますが、それは主に指向性が高く、発砲位置を察知されやすい高音域の発砲音を低減させる目的。

それに対してこの戦車砲やより大口径の榴弾砲を対象にした消音器は、主に低音域を低減して、発砲音そのものをわかりにくくする目的で開発されたようです。

とはいえ、戦車砲用にせよ榴弾砲用にせよ、据置タイプでとても迅速な移動など不可能なため、移動しながら発砲することも多い戦車、迅速な陣地転換を目的とした自走砲ではとても使えません。
それなら牽引式の榴弾砲ならどうかと言えば、現在では牽引式でもトラックやヘリコプターによる迅速な陣地構築や移動を行うのが常ですから、そうなると今ではほとんどありえない要塞砲くらいでしか出番が無いことになります。

一応、これを開発したドイツの兵器メーカー、ラインメタル社では「あくまで研究用」としていますが、特許も取っているのでどこまで本気なのか?

なお、榴弾砲用はマズルブレーキ(発砲時の反動を減らすため横方向へガス圧を逃がす装置)からのガスを通すパイプもあることから、男性器に見えないことも……これがホントの「チン兵器」?

乗りたがる人はいますか?ブロームウントフォス BV141(ドイツ)

Blohm und Voss Bv141.jpg
パブリック・ドメイン, Link

飛行機が戦争で最初に使われたのは偵察機としてでしたが、それからというもの用途は何であれ「視界がいいに越したことは無い」というのが飛行機作りの定番です。

中には高速性能を重視するなどの理由で、前方視界以外はほとんど無視したような飛行機もありますが、こと偵察機となれば視界が命!
とにかく視界を遮る邪魔になるようなものはとっぱらってしまえ! という究極系が、第2次世界大戦直前の1938年に初飛行した、このBV141でした。

これを開発したリヒャルト・フォークト博士からして「ゲテモノ好き」というか、マトモな形をした飛行機を作る方が珍しいくらいの奇人変人なのですが、その割にはマトモに飛ばない飛行機は滅多に作らない天才、つまりマッドサイエンストの類です。

BV141もその極端な例の1つで、奇妙なことに左右非対称の双胴機。
双胴機そのものはそれほど珍しくありませんが、左側胴体はエンジンと垂直尾翼が、右側胴体は操縦席を含む4人乗りのとっても視界の良いゴンドラ。

あまり胴体が長いと後方視界が良くないのでゴンドラは短く、いわば左側胴体がメインでゴンドラを右側に装着した飛行機と言うべきか、でもそこから操縦するのでやっぱり右側のゴンドラがメインなのか?
水平尾翼に至ってはバランスを取るためか視界を確保するためか、左は長いのに右は異様に短く、これでマトモに飛んだと言われて納得しろという方が無理です。

案の定、同時に試作されたライバルのフォッケウルフFw189に敗れて不採用となりましたが、その理由はエンジンノアンダーパワーと油圧系統の問題だったとか。

本当は誰もこんなヘンテコリンに乗りたくなくて怖がっているうちに、何かエンジンや油圧の調子が悪いような気がした、あるいは「そういうことにした」のでは無いでしょうか。
アナタなら、これ乗りたいと思います?

夏休みの宿題で作りそう? リモコン自走爆弾ゴリアテ(ドイツ)

Mini-tanks-p012953.jpg
By https://web.archive.org/web/20120206065939/http://www.archivesnormandie39-45.org/specificPhoto.php?ref=p012953, パブリック・ドメイン, Link

なんか第1次世界大戦で使われたイギリス製菱形戦車を元に、小学生が夏休みの宿題で縮小再現してみました! みたいな見かけの超小型装軌車両が、このゴリアテ

タミヤの「子供の工作」シリーズみたいなので、確かにリモコンで動かすこういう戦車っぽいのがあったんですよ。
左右2つのモーターをうまくリモコンで操作すれば前進後退、超信地旋回(左右の履帯……キャタピラ……を逆転させて、その場で方向を変える)も自由自在というものでしたが、ガワが無いのでそこは簡単にベニヤ板とかで自作しるとこんな感じに、もう少し小さかったですが。

ただ、第2次世界大戦中に作られたゴリアテはもう少しマジメな用途、つまり最高100kgの爆薬を搭載して、敵のトーチカ(コンクリート製など頑丈な陣地)や戦車などに突っ込ませて爆破させる、自走爆弾だったのです。

日本軍も似たようなことを本物の戦車でやってましたが、ゴリアテはあくまで無人の有線リモコン戦車。
リモコン操縦用だけじゃなく電力も有線でつないで供給してましたが、モーターを使わないガソリンエンジンタイプもあったようです。

こんなのが10km/h前後でトロトロと迫ってくるのを敵が見逃すはずもなく、リモコンの配線を切られたり、砲撃の衝撃で操縦装置の故障や、銃撃(装甲はわずか5~10mm)で破壊されちゃうわけで、大した役にたたなかったんですが。
ヒドイ時だとスコップでケ-ブル切られて終了、なんてこともあったようです。

そのため1942年から期待の新兵器として使われたものの、一番目立った戦果はノルマンディ上陸作戦の時、行動不能になったゴリアテを面白がった米兵がイタズラでハッチを開け手榴弾を放り込んだら、中の爆薬が誘爆して周囲に大損害を与えたくらいとか。

人間が直接フトン爆雷抱えて戦車の下に潜り込んで自爆したり、対戦車地雷抱えてやっぱり生身で敵戦車に忍び寄るよりはマシでしたが、バズーカ砲やパンツァー・ファーストのような無反動対戦車兵器の方が役に立ったわけです。

さあ左の手の平を上に向け、高く上げよう!ヴォートXF5Uフライング・パンケーキ(アメリカ)

ヴォート XF5U-1 原型1号機
By 不明http://www.flickr.com/photos/sdasmarchives/4561367235/, パブリック・ドメイン, Link

昔から宇宙人が乗ってくるUFO(未確認飛行物体)は円盤型が定番のひとつですが、なぜなんでしょう?
一般的に知られる飛行機とあまりにも形が違うので、そんなものが飛ぶのはありえない! というのは現代の人の言い分で、案外昔の人は「空を飛ぶのはこういう形の方がいい」と思ってたのかもしれません。

それを証拠に円盤型航空機というのはいくつか実在しまして、その1つがこのヴォートXF5U、通称「フライング・パンケーキ」。
高速から低速まで広い速度域で良好な飛行特性を示し、揚力が大きくて失速しにくいのでSTOL(短距離離着陸)性能が非常に高く、航行中の風との合成風力を得られる空母からなら垂直発艦も可能かも……と、風洞実験でわかったので作ってみましたという機体。

これでも一応、完成の暁には小型低速で飛行甲板の短い護衛空母からでも運用可能で、高速、大航続距離、重武装の艦上戦闘機になるはずだったんです。

むしろそういう飛行機はアメリカより日本、それも意外と頭の柔らかかった陸軍航空隊と船舶工兵の特殊船(空母型もあった)で使えば良さそうですが、作ったのはこんな変な飛行機が無くても困らないアメリカだったんですから、世の中不公平ですね。

それでもアメリカ海軍はそれなりに機体をしていたようですが、普通の形をしたマトモな飛行機をたくさん作っていて十分忙しかったヴォート社はXF5Uに構っているヒマがあまりありません。
何しろF4Uコルセアの大量生産を自社でまかないきれず、グッドイヤーや悪名高いブリュースターにまで発注していたくらいです。

それでも、1944年7月に正式発注されたXF5Uは1945年8月には初飛行したものの、性能発揮に必要な特注の大径プロペラを作るのに長い長い時間を要して完成はなんと1947年
もうジェット機の時代だし、STOL性が無くてもマトモな艦載機を発着させられるエセックス級やミッドウェー級空母がたくさんあるし、もういいよ! とキャンセルされて終わったのでした。

なお、円盤型モノコックボディってすごく頑丈らしく、作るよりスクラップにする方が大変だったそうで、最後まで手間ばかりかかる飛行機だったようです。

開発動機は真剣なのに、命中先が不純だったイ号一型乙無線誘導弾(日本)

Ki-147.jpg
By 不明http://www.militaryimages.net/photopost/showphoto.php/photo/5447, パブリック・ドメイン, Link

第2次世界大戦末期の日本軍機による対艦攻撃といえば、とにかく「特攻一本槍」なイメージがありますが、現実問題といていちいち人が乗ったまま突っ込んでいては、いくら即席教育とはいえ、いつか出撃するパイロットがいなくなってしまいます。

何より必要なのは人材であり、それを使い捨てにするのはしのびない、と真面目に無人飛行爆弾を開発する技術者はちゃんといて、今で言う「対艦ミサイル」(誘導弾)がちゃんと開発されていました。
そのうち、小型の軽爆撃機や襲撃機に搭載する比較的短距離用の誘導弾がイ号一型乙で、ほかに大型でやや射程が長く、重爆撃機などに搭載するイ号一型甲や、赤外線誘導のケ号吸着爆弾もあります。

しかしなんでイ号一型乙がこんな記事に名前を連ねるかというと、発射テストの際に誘導装置の不調で熱海の温泉街へ、それも旅館の女湯に直撃してしまったから。
テストはうまくいかない上に女湯に飛び込んだものだから、「エロ爆弾」とあだ名をつけられてしまったのでした。

もちろん飛び込まれた旅館は全焼、死者4名の大惨事だったので笑い事ではないのですが、真剣に作ってみたらこんな結果になり、関係者はさぞかし悔しかったかと。

それでも無線誘導装置さえ作動し、命中まで母機が無事なら(射程の短さから、発射すら困難と言われたものの)役に立つとされ、空襲で工場が破壊されるまで150発程度が生産されたものの、本土決戦のため温存されたまま1発も使われず終戦を迎えました。

日本以外にドイツやアメリカなどでも同様の対艦ミサイルや誘導爆弾、対空ミサイルは開発されたものの、実践運用されたのはドイツのフリッツXやHs293くらいに終わり、実験段階で女風呂に突っ込むエピソードを残したのはイ号一型乙くらいなものです。

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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