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2017/12/16

Gunfire

止血専用注射器『XSTAT 30』! 脅威の止血力!


戦場に身を置く兵士達にとって武器と装備と同じぐらい重要なのが応急処置に使う医療器具。

悲しい事に兵士達の死因の半数は出血死だと言われており、負傷した時にいかに素早く止血できるかが生死を分けると言われています。

負傷した部位が前腕や下腿など先端部位であれば止血帯などを用いれば止血が可能ですが、体幹部や上腕、大腿(太もも)を負傷してしまうと止血帯を使用することはできません。

そこでアメリカ軍が開発したのが止血専用の注射器『XSTAD 30』。今回はそんなちょっと変わった注射器につて紹介していきたいと思います。

「間接止血法」と「直接止血法」


止血方法は大きく分けて「間接止血法」「直接止血法」の二種類があります。

間接止血法とは銃創から心臓の近い位置にある血管を圧迫して出血を止める方法に対し、直接止血法は銃創を直接圧迫し止血する方法です。

しかし、体幹部や動脈などを負傷した場合、間接止血法は使えないため直接止血法の一択となってしまいます。

また、銃創のような重症な負傷の場合はガーゼを創部に押し当てるだけでは出血が止まらないため、基本的には創部の中にガーゼを詰め込み、血管を圧迫して出血を止めるという方法が採用されています。

「銃創にガーゼを詰め込む」と聞くと非常に痛々しく荒々しい治療法のように思われますが、専門的な医療器具がない前線ではこれ以上の処置ができないというのが現状です。

出血を確実に止めるXSTAD 30

兵士が被弾した場合、基本的には上記で紹介した直接止血法で処置が行われます。

しかし、場合によっては太い動脈が切断され負傷者の吹き出る血によってガーゼが押し返されてしまい、うまく止血できないという問題がありました。その問題を解決するために開発されたのが今回紹介する「XSTAT 30」

一見、錠剤が入ったおもちゃの注射器に見えますが、中に見えている錠剤の正体は実はスポンジ。ただ、スポンジといっても普通のスポンジではなく、「キトサン」と呼ばれる抗菌作用のある収れん剤が主成分のスポンジで、お互いに引っ付きあう性質を持っています。

使い方は注射器の先端を銃創部に挿入し、直接スポンジを注入。するとスポンジが負傷した兵士の血液や体液を吸収し急激に膨張して血管や創部を圧迫して止血させるという仕組みになっています。

実際に行っている事は今までのガーゼを詰めるという事と大差はないのですが、XSTAT 30を使う事でより確実に止血することができるようになったのです。

実際に命を救ったXSTAT 30


引用:REVMEDX
このXSTAT 30は実は2014年にはアメリカ軍に認可され、2015年には民間用としてFDA(米国食品医薬品局)にも認可されています。しかし、採用されてから数年が経過しているのにもかかわらずXSTAT 30はあまり活躍する時はありませんでした。

そんなXSTAT 30が2016年には一人の兵士の命を救うという輝かしい功績を残しています。

2016年にある兵士が大腿部を激しく負傷し大腿動脈と静脈が切断されるという大怪我を負ってしまいます。

兵士はすぐさまFST(※)の元へ搬送されましたが、専門的な医療器具がある中で約7時間もの間、焼灼法などの手術を行ったのにも関わらず出血が止まらないという事態が発生しました。

そこでFSTの医師はXSTAT 30の使用を決意。医師がXSTAT 30を創部に使用したところ、どうやっても止まらなかった出血を約15秒で止めることができたといわれています

傷口に物を詰めて止血するという点では従来の方法と大差ありませんが、新しく開発された素材を使う事で従来の方法より効果的に止血することが可能となったのです。

※FTS:Forward surgical teams。
アメリカ軍に所属する外科治療チーム。移設可能な手術室などがあり、現在はアフガニスタンとイラクに配置されている。

まとめ

「深い傷口には物を詰めて止血する」

この止血法は実はこの止血法は人間がまだ剣や盾で戦っている中世時代から変わりなく、現在でも引き継がれていました。そして今回は新たな発想と新素材により、止血方法に新たな歴史が刻まれようとしています。

戦争のおかげで救われる命が増えるというのは複雑な気分ですが、今後XSTAT 30は戦場などではなく災害時や交通事故で活躍できるといいですね。

Gunfire

元々はインドア派だったが、体力の衰えを感じはじめたため、体を動かす趣味を探してサバイバルゲーム初参加。それ以降というものサバイバルゲームの魅力と銃の魅力にひきつけられ、今では猟銃免許や狩猟免許まで手を出して本物のショットガンを背負って山でイノシシやシカを追うまでに。サバゲーやアウトドアの魅力を知ってもらうために今日も熱意執筆中。

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