- コラム
中古ばかりとは限らない、日本からの輸出兵器5選
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菅野 直人
すごいー! たーのしー!
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菅野 直人
完全に周辺諸国も国際社会も無視して、独自の軍事外交を続けているように見える北朝鮮。「この際潰してしまえ」と軽く考える人もいますが、それができるならとっくにやっています。今後想定されるケースと、その問題点を軽く紹介しましょう。
まず現在進行形で段階的に強化されている経済制裁のさらなる強化は、現状でも民間レベルでは代金支払いの遅延による取引停止など影響は出ているものの、そのためには「抜け道」が無いのが大前提。
しかし中国国内の見本市で北朝鮮産の海産物が販売されていたと報道されるなど、「抜け道」が無いとは言い切れない状態です。
中国とロシアが石油や石炭など資源の全面禁輸に反対するなど制裁強化にも限界がありますし、過去の我が国のように「経済制裁の強化に耐えかね、余力があるうちにと戦争という手段を選択した」というケースもあります。さらに韓国ですらも人道支援は制裁とは別に考える意向を明らかにしているため、「完全封鎖」は不可能です。
ただし、経済制裁の効果とはジワジワと現れるものなので、「誰もが気がつかないうちに北朝鮮が身動きできなくなっていた」という、地味でも確実性のある制裁ならば有効で、ロシアや中国も気がつかないうちに北朝鮮の足腰が立たなくなることに期待されています。
北朝鮮の一貫した希望として、韓国やその他周辺諸国を飛び越えアメリカと直接交渉する「米朝直接対話」があります。
過去に米朝の緊張がもっとも高まった1993年のNNPT(核拡散防止条約)脱退と核兵器に使用可能な核物質取り出しが行われた時には、個人の資格で訪朝したカーター元大統領の仲介で米朝対話が行われ、核開発の平和利用への転換など緊張緩和が図られました。
しかし、結果的に2001年のジョージ・W・ブッシュ(子ブッシュ)政権時代に関係が悪化して北朝鮮を「悪の枢軸」扱いしてから両国関係は完全に悪化してしまっています。
現在の北朝鮮を見てもわかる通り、アメリカや韓国に北朝鮮へ穏健的な政権が誕生して融和政策が取られても、その影で核開発を止めない北朝鮮の姿勢が問題です。
現在のトランプ政権が「得点稼ぎ」のため電撃的な直接対話を行う可能性は否定できませんが、仮にそうなったとしても次の政権までの一時しのぎにしかならず、北朝鮮が再度挑戦的な態度を取った場合は面目丸つぶれとなって、かえって後戻りできなくなります。
これまでアメリカがよく行ってきた政策で、「飛行禁止空域」の設定により相手の軍事力を制約するというパターンもあります。
軍用機の飛行のほか、対空ミサイルを照準するためのレーダー電波放射も敵対行為とみなされて攻撃対象とされてフセイン時代のイラクなどそれでよくアメリカから攻撃されていましたが、北朝鮮にも同様の措置を行うことが考えられるでしょう。
ただし、その場合はもちろん「ミサイル」も飛行禁止(打ち上げ禁止)の対象になります。
仮に北朝鮮がこれまでのように弾道ミサイルの発射を行った場合、その弾着地点に関わらず発射即迎撃、というシナリオは米国防総省でも真剣に検討されており、経済制裁に続く制裁として実際に行われる可能性が高いでしょう。
ただし、そのためにはもちろん確実な迎撃手段を持つことが大事で、もっとも有効な手段である弾道ミサイル迎撃能力を持ったアメリカ海軍のイージス艦を日本海に常時配備できるのかどうか。
仮にそれに失敗した場合、北朝鮮にとっては大いに国威発揚、アメリカにとっては逆に国威が失墜する事態となるだけに、その後どうするかまで考えないといけません。
迎撃成功にせよ失敗にせよ、発射地点への攻撃まで行うのか、放置するのか。また、迎撃に際して日本や韓国への協力を求めるのは当然ですが、それに両国はどこまで応じるのか、軍事力というより高度な政治的判断が要求され、当事国の政治情勢も大きな影響を与えるでしょう。
直接国土を接する韓国はいざ戦争となると慎重になるのは致し方無いところですが、日米に関しては弾道ミサイル攻撃によるものを除き、直接的な攻撃を加えられる心配が少ないこともあって、強気な姿勢を崩していません。
そのため米国による北朝鮮への軍事攻撃はまだ可能性は低いながらも現実味のあるオプションとなっていますが、その際に米国が攻撃し、日本が弾道ミサイルや特殊部隊の攻撃に守りを固めつつ、後方支援を行うという構図はもっともありえるでしょう。
その場合、米国が日本の自衛隊に求めるのはあくまで「後方拠点の防衛」であり、それ以上は求める必要性を感じず、自衛隊にもそれ以上の任務に応える能力を持ちません。自衛隊にできる北朝鮮への直接的な攻撃は、領海や領空に侵入した航空機や艦船への攻撃に限られます。
ただし、そこで問題になるのは韓国で、首都ソウルがあまりにも北朝鮮に近すぎるため、勝てるにせよソウルを含む北朝鮮との国境に近い地域が攻撃を受けます。
首都機能はかつての朝鮮戦争のように釜山などへ仮移転できるにせよ、人的、経済的に致命的な被害を受けて、再び何十年も復興に要する可能性を考慮すると、北朝鮮と直接戦闘を行うのは避けたいでしょう。そうなると、アメリカが北朝鮮に戦火を開いたとして、韓国は中立を表明する可能性すらあります。
その場合に問題となるのは、アメリカ軍や自衛隊が韓国の支援を受けられないのはもちろんですが、在韓邦人の救出に自衛隊を韓国に派遣するのも受け入れられないことです。現状でも朝鮮半島有事での自衛隊派遣は韓国との協議すらできない状態のため、北朝鮮が一方的に韓国を攻撃してこない限り、その状況は変わらないでしょう。
少なくとも韓国在住の日本人やアメリカ人は民間ルートでの自力脱出を迫られますが、民間の航空機や船舶による交通が許されるのか、周辺の第三国経由になってしまうのではないか、その場合でも一番近いのはロシアや中国ということで、ハイリスクです。
現在はアメリカ政府によりアメリカ人の北朝鮮渡航は禁止されていますが、韓国についても何らかの制限が行われると、カウントダウンが始まることになるでしょう。
最悪のケースとして、日米韓朝のみならず、中国やロシアまで巻き込んだ広域戦争の可能性もわずかながら捨てられません。その場合は何がどのようなタイミングでどう起きるのか、可能性があまりにも多すぎます。
例えば北朝鮮に対しロシアと中国は遺憾の意を表明しながら、裏では支援する立場だと思われていますが、実際には関係が非常に悪化していた場合どうなるか。
極端な選択肢の中には、「ロシアか中国、あるいは両方がより自分たちに友好的な政権を作って緩衝国としての役割を維持させるため、北朝鮮に軍事侵攻を行う」というケースも入ってきます。
その場合、電撃的な侵攻で金正日政権が倒れて、傀儡でも融和的な政権でも北朝鮮に誕生すればまだ良い方で、さらに最悪なケースとしては金正日政権が表向き倒れたことにして偽の政権を自ら立て、その政権に韓国への救援を求めさせることです。
民族的大義をもって韓国がこれに応じた場合、韓国軍と在韓米軍、北朝鮮軍、ロシア軍、中国軍が入り乱れて混乱し、後方支援を行うべき日本までこの混乱に巻き込まれる可能性もあります。
その混乱の中で国境問題を抱えている地域が平穏無事でいられるのか、あるいはその報復として正反対のヨーロッパ地域で何が起きるのか、無数の可能性と予測もされない偶発的事態が起こりえるでしょう
さすがに落ち着いて考えれば誰も得をしないこのようなケースはまず起こりえませんが、逆に「得をする者がいればありえる」ことでもあります。それだけに、北朝鮮問題に関しては今後も、「誰が得をして、そのためにどこまで許容するのか」という観点で、慎重かつ迅速な分析が欠かせません。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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