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2017/10/21

菅野 直人

空の大艦巨砲! 逃げ場の無い頭上からデカイ大砲をぶっぱなす航空機用大口径砲BEST5

「大艦巨砲主義」と言えば文字通り海の軍艦、それも戦艦を真っ先に思い浮かべると思いますが、空にも大艦巨砲主義はあります! 空中から大口径の高射砲で爆撃機をズドン! あるいは地上目標をめがけても狙われた方は迷惑千万。そんな空の大艦巨砲BEST5をご紹介します。

5位:特殊防空戦闘機・三菱キ-109(日本・75mm砲ホ501搭載)

キ109。機首先端は75mm砲の砲身
By 不明http://www.warbirdphotographs.com/ArmyJB&W/Ki-109-1s.jpg, パブリック・ドメイン, Link

高度1万mの成層圏を飛んでくるB-29に追いつける戦闘機はそうそう無いし、あっても装甲されたB-29を攻撃するには威力不足、十分な威力を持った37mm以上の機関砲を持った戦闘機は重くてなかなかそこまで上昇できない…

では高射砲ではどうかと言えばこれも最大射高ギリギリな上に数が不足しており、同じく本土爆撃を受けるドイツのように、「高射砲弾の破片で歩けるほど」という弾幕は無理

ならばよろしい、高射砲を積んだ飛行機を上昇させて、一撃でズドンとやろう! そんな発想で作られたのが日本陸軍の特殊防空戦闘機キー109。四式重爆撃機「飛龍」を改造して機体内部に八八式高射砲を改造した75mm航空砲ホ501を仕込み、砲口を機首から突き出した姿はいかにも強そう

ただし、高速飛行するB-29に必殺の直撃弾を見舞うには結局近づかなければならず、キ-109にそこまでの上昇力は無いので対B-29用迎撃機としては役立たずなことが判明。最終的には75mm砲だし威力はあるし……と本土決戦時に上陸してくる連合軍を攻撃する任務に回されたのでした。

ちなみに75mm砲は他にも装備例が多く、アメリカのノースアメリカンB-25G / Hミッチェル、ドイツのヘンシェルHs129B-2/R-4、同ユンカースJu88P-1などに搭載されましたが、どれも対戦車用対艦攻撃用です。

4位:ツポレフANT-29(ソ連・クルチェフスキー102mm無反動砲搭載)

2機のI-5と共にモスクワ上空を示威飛行するANT-20。
By nevermore – Published in former USSR 1935, [1], パブリック・ドメイン, Link

第2次世界大戦前のソ連ではレオニード・クルチェフスキーという無反動砲の権威がいて、駆逐艦用の305mm無反動砲や小型艇用の152mm無反動砲などを数多く開発していました。

当然航空機用も作られ、単発戦闘機IP-1用の76mm無反動砲が開発されたものの、携行弾数の少なさや装填が困難なため、大型化して自動装填化した102mm無反動砲を開発! しかし長い! 重い! こんなの双発爆撃機ベースの重戦闘機にしか積めない!

というわけでANT-29という無反動砲搭載重戦闘機を作りましたが、砲が重すぎて爆撃機より遅い代物になり、つまるところキ-109と全く同じ理由でボツになりました。

ちなみに無反動砲の権威、クルチェフスキーは何だかんだで作りに作った砲がどれも失敗作だったため、「ロクでも無いもんばかり作りやがって!」と逮捕・投獄されてしまいました。
当時のソ連だと奇抜な兵器を作るのはまさに命がけ……

3位:ピアッジオP108A serie2(イタリア・102mm砲)

P108 in volo 3.jpg
パブリック・ドメイン, Link

第2次世界大戦のイタリア空軍なんて戦闘機以外はロクなもんじゃない……と思いきや、案外多発の爆撃機や哨戒機、水上機なんかはいい飛行機を結構作ってます

目立たないのは大量生産できなかったからで、四発重爆撃機P.108もそんな飛行機でしたが、対艦攻撃用のP108A Serie2は機首に102mm砲を搭載したなかなかの大火力

四発重爆に大口径砲で対艦攻撃させるような戦術ってアリなのか?
と疑問に思いますが、イタリア人パイロットはアクロバティックな飛行大好き集団でもあったらしいので、そうした戦術もアリだったのでしょう。

2位:ロッキードAC-130ガンシップIII(アメリカ・105mm榴弾砲)

フレアを放出するAC-130H スペクター
By U.S. Air Force photo/Senior Airman Julianne Showalter – United States Air Force, パブリック・ドメイン, Link

「大口径砲」そして「ガンシップ」と言えば一番有名どころがロッキードAC-130。「スプーキー」や「スティンガー」などタイプ別で愛称がありますが、面倒なので総称としてガンシップIIIでまとめます。

ベトナム戦争の時、神出鬼没のベトコン相手に空中から地上に対する継続的な火力支援の方法が無いか考えたアメリカ空軍が考えついたのが、「大量の火器と弾薬を装備した輸送機を戦場上空で旋回させて、バリバリ撃ちまくる」という何ともダイレクトな方法。

旧式輸送機を改造して7.62mmミニバン数丁を装備しただけのAC-47ガンシップですら「B-52の爆撃に匹敵する」と言われたコスパの高さで、その後AC-119ガンシップIIに発展。
決定版となったAC-130ガンシップIIIでは20mmバリカン砲40mm機関砲などに加え、ついには105mm榴弾砲まで搭載されたのでした。

ただし、ガンシップが旋回すると何もかもなぎ倒してせん滅してしまうほどの威力でしたが防御力は皆無なので反撃に弱く、最近は小型ミサイルなど精密誘導兵器に頼る割合も増えています

1位:355.6mm無反動砲ミュンヒハウゼン(ドイツ)


大体どんな兵器でも変態レベルに達するとドイツ人の出番と言うわけで、ナチスドイツの開発した対艦・対地攻撃用大口径航空砲は何と砲口径355.6mmの無反動砲

ガンシップというより「空中戦艦」みたいですね……ドイツは陸軍国ですから「空飛ぶシュトルムティーガー(380mm臼砲装備)」でしょうか?

無反動砲ならどれだけ大口径でも航空機に積めるし、一撃必殺大威力兵器は非常に魅力! というわけで1939年から開発され、1940年には実際にドルニエDo217に搭載されて試験発射が行われました。

しかし、いかに無反動砲とはいえ後方爆風による機体損傷と言う問題は解決できず、そのうち空対地/空対艦ロケット弾やフリッツXなど誘導兵器が登場したことで必要性が無くなり、計画は中止されてしまいます。

以後これ以上の大口径砲はさすがに登場せず、対艦ミサイルや誘導爆弾で十分な威力を持つようになったので、ミュンヒハウゼン以上の巨砲は登場しないでしょう。

菅野 直人

物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。

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