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2017/10/12

笹木恵一

オート9 悲劇のサイボーグの過去と現在を繋ぎとめた名銃

ロボコップは1987年に公開されたSF映画だ。監督はポール・バーホーベン、ピーター・ウェラー主演のこの映画は、製作費1300ドルと低予算作品だったが、重厚なSF設定と、悲劇的なドラマ、そして何よりヒロイックなロボコップの活躍が高く評価され、瞬く間に大ヒットシリーズとなった。
2014年にリブート版が公開されたことは記憶に新しいが、こちらも良くできた映画ではあるものの、やはり1作目の強烈なインパクトには及ばなかった印象だ。



出典:Amazonビデオ

日本の特撮作品『宇宙刑事ギャバンに影響を受けたといわれるだけあって、一見普通のSFヒーローにも見えるが、お話のディティールはかなりシニカルでダーティ。随所に資本主義に対するアンチテーゼが織り込まれている。



出典:Amazonビデオ

時は近未来、超巨大企業のオムニ社はその強大な財力を振るい、様々な公共事業を買収し、遂に警察事業までもをその手中に収めてしまった。早速オムニ社は警察事業の一環として、飲まず食わずで24時間稼働するロボット警官の開発に着手。完全に機械で出来た第一号機『ED-209』が失敗に終わり、次に考え出されたのが、ロボットの電子頭脳に生きた警官の頭脳をパーツとして使用する『ロボコップ計画』だった。オムニ社は候補の警官をわざと任務中の死亡率が高いデトロイトに転属させ、その中の一人『アレックス・マーフィ』が凶悪犯罪者の銃弾に倒れると、彼の頭脳をロボットのパーツに組み込み『ロボコップ』を誕生させた。当初は完全なマシーンとしてプログラムに従い任務を遂行していくロボコップだったが、パーツとして使用したマーフィの頭脳が徐々に生前の記憶を取り戻していくというお話だ。



出典:Amazonビデオ

ロボコップ専用の銃として登場するのが今回取り上げる『オート9』。ベレッタM93Rをベースにした架空の銃で単発での発射はもちろんのこと、一度に3発連続で発射できる3点バーストモードに切り替えることが可能。この時の「バババッ」という発射音と3方向に広がるまずるフラッシュがたまらなくカッコイイ!
このオート9を威勢よくぶっ放した後、太ももに内蔵されたホルスターに収納するのだが、その時ロボコップはまるで西部劇のガンマンのようにクルクルとスピンさせるクセがある。これは生前のマーフィと共通のものだった。それを見抜いたマーフィの元相棒ルイスはいち早くロボコップの中にマーフィがいることに気づくのだ。



出典:Amazonビデオ

単にカッコイイ武器であるだけに留まらず、ドラマのキーとして重要な働きをし、結果として悲劇の死を遂げ変わり果てた姿になった主人公を過去と現在を繋ぎとめたオート9こそ真のパートナーといえるのではないだろうか。

笹木恵一

幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。

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