- コラム
第一回 軍事学入門~タブーから、未来へ生きるためのヒントへ~
2016/10/12
菅野 直人
すごいー! たーのしー!
2017/04/16
菅野 直人
戦争を、軍事を理解し、そこに自分の意見を持つためには学んだ方が良い「軍事学」。なぜ人は、国家は戦争という手段に訴えるのか? そこに兵器や軍隊があるから戦争になるのか? 今回は経済という観点から軍事への関わりを考えます。
なぜ戦争が起きるのか? 軍事的脅威? 民族的、宗教的な対立? 価値観の相違?
そうした理由はプロパガンダ(宣伝)としては有効ですが、実際の理由とは異なることが多いです。
では本当の原因は何かと言えば、「経済的理由」がその最たるものでしょう。
プロパガンダを前面に押し出すのは、理由を正直に言ってしまっては何となく萎えるからだと考えて構いません。
「我が国が一番儲けたいから、利益を出したいから、甘い汁を吸いたいから、だから戦ってきて、死ぬかもしれないけど頑張って!」
そう言われてやる気が出る兵士、生活が制限されても我慢する国民がいるでしょうか?
そんなわけで、本当の理由はともかくとして、何となくやる気が出るニンジンとしてプロパガンダはとても大事だったりします。
その一方で、反戦思想の根底にあるのもまた「経済」だったりします。
考えてみてください。
戦争して、勝って、儲かって潤うのは誰でしょう?
それは国であり、組織であり、企業であり、それを構成する国民です。
その範囲が広ければ広いほど、最終的には多くの国民がその衣食住を満たせるので、それにプロパガンダによる大義名分まで満たされていれば言うことはありません。
多くの国民は盛り上がって自信もつきますし生活は安泰、給料は増えるし毎日ウマイ物は食えますし、誰もがご機嫌です。
確かに勝ち戦でも戦死者や肉体的・精神的に回復できないダメージを受ける人はいるでしょうが、大抵の国民にとっては無縁な少数派ですから、その声が世の中を動かすこともないでしょう。
しかし、それがひとたび負け戦となったらどうですか?
急増する戦費に、利益が少ないどころか赤字まで出る始末、企業もいろいろと旨みを落とすはずの国や組織が信頼できなくなりますし、そうなると活動も消極的になって国民も仕事を失います。
仕事を失った国民が軍隊へなだれこんでも負け戦ではロクなことになりませんし、現在だけでなく将来の働き手を失った家庭は困窮するでしょう。
結果、誰にとっても経済が回らなくなりますから、まずは最大の弱者である国民が、そして企業が組織がと上に向かって反戦気分は広まり、最後は国が戦争を続けられなくなるわけです。
これは戦争している時もそうですが、平和な時でも同じこと。
誰だって明日も今日と同じようにゴハンを食べたいのに、戦争して負けたらどうするんだ……これもまた誰も正直に言いませんし、自覚すらしていないかもしれませんが、間違いなく経済的理由ですね。
では、なぜ戦争が経済的問題を解決、つまり利益を出すのでしょう?
ひとつには、「そこで商売をして、ライバルを締め出す」というのが理由です。
あるジャンルの製品を売りたい市場があり、そこが消費意欲が旺盛、つまり買ってくれる企業や人がたくさんいるとしましょう。質を問わず、あらゆる製品が売れまくって誰もが儲けられるならば何の問題もありませんが、そんな夢のような市場は存在しません。
まず確実に需要には限界がありますし、消費者はなるべく安くて優れた製品を欲しがります。
単純に考えれば、もっとも消費者の希望に合致した製品を販売できる企業が一番儲かりますし、それが海外企業であれば、その企業が属する国も外貨を獲得できますし税収も増えますから、儲かって万歳です。
しかしライバル企業、ことに消費者の希望に応えきれない企業にとっては、そんな企業や国は邪魔ものでしかありません。ならば、そこが商売できないようにしてやれば、自分たちが一番利益が上がるんじゃないか?
かくして戦争で競争相手の国を潰したり、あるいは市場となっている国を影響下に置いて、競争相手の国からの輸入に高い関税を敷いて実質的に市場に締め出すわけです。
戦争に勝てば儲かり、負ければ損する理由としてもっとも単純なケースですね。
ちょっと待った!
経済的問題を解決するのに、戦争以外の方法は無いの? そもそも戦争だってお金がかかるでしょう、しかも負けたらもっと不利になるんじゃないかと考えるのも、当然な話です。
勝てばいいのだと言っても、そのために莫大な費用をかけて赤字になったら意味がありませんからね。
そこで次回は「軍事と経済」その2として、経済の問題は軍事以外、つまり経済そのもので解決できないのか、できないとすればその理由は? について、ご説明します。
物心付いた時には小遣いで「丸」や「世界の艦船」など軍事情報誌ばかり買い漁り、中学時代には夏休みの課題で「日本本土防空戦」をテーマに提出していた、永遠のミリオタ少年。撤退戦や敗戦の混乱が大好物で、戦史や兵器そのものも好きだが、その時代背景や「どうしてこうなった」という要因を考察するのが趣味。
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