- コラム
怒りのガンマン 銀山の大虐殺 ~銀山は出ない!!~
2018/12/20
笹木恵一
すごいー! たーのしー!
2019/03/7
笹木恵一
『狂った野獣』は1976年に公開された日本映画。監督はここの映画紹介ではお馴染みの中島貞夫。主演は渡瀬恒彦。そして室田日出男、川谷田幸三、片桐竜次他のピラニア軍団の皆さん。
本作と同時期に公開された『新幹線大爆破』を足して2で割ったのがハリウッド超大作の『スピード』だとか言われたり言われなかったりしているぞ!
出典:https://video.unext.jp/title/SID0020915
銀行強盗に失敗した二人組が路線バスをジャックした! そこにちょうど乗り合わせたのは個性豊かな乗客ばかり。ボケ老人、こっそり犬を乗せているオバサン、競馬に夢中のおっさん、不倫中の主婦と小学校教師、ホステス、女優志望の女、チンドン屋の夫婦、塾に通う子供二人、そして謎の男渡瀬恒彦! さらにこのバスの運転手が心臓に爆弾を抱えているってんだからさあ大変。警察は威信をかけてバスを追う。しかしバスの駐車場に隠れて一時停車しているところで、一瞬のスキを見て渡瀬恒彦が逃亡! しかしギターケースを置き去りにしてしまう。仲間の女と落ち合った渡瀬恒彦は、女の駆るバイクに二ケツしてバスと並走、なんと窓からバスに戻ってきたではないか! バスの激走は止まらない。小屋に突っ込むわ、パトカーを蹴散らすわ。しかしやればやるほど全員がひどい目に合っていく! 果たして渡瀬恒彦の正体とは? 追う警察は? 強盗2人組は? そして乗客の運命やいかに!?
元々は『激突! バス・パニック』というタイトルの予定だったが、当時の東映ガッハッハ社長の岡田茂が『狂った野獣』に変えてしまった。これに対し監督の中島は「意味不明だけど、あの社長に言ってもしょうがないから」と後に語っている。
この映画とにかく面白い。低予算ながらも迫力のカーアクション。バスを追うパトカーが次から次へと転がるわ、吹っ飛ぶわ。よくこういうカースタントシーンって、吹っ飛んだ方のドライバー大変なことになってそう、ってのをちゃんと描写する辺り、この頃の東映はなんかキテる。しまいにゃ、バイクで並走して走りながらバスに窓から乗り込むシーンを、渡瀬恒彦本人がぶっつけ本番でやっているのだから狂っている。さらに渡瀬はクライマックスのバスの転倒シーンも本人が運転している。晩年は人の好いおじさん役が多かった渡瀬の、若く最もギラギラした姿がそこにある! 室田日出男演じる白バイ警官も負けちゃいない。こちらもやはりノースタントで激走するバスにしがみ付くわ、歩道橋から飛び降りるわの大暴れ! その出番の最後はあまりにも……なんというかあっけにとられてしまうw
そしてこういった映画でいえば本来守られるべき、善良なる弱者として描かれるバスの乗客たちは、一癖も二癖もあるだけではない。ある意味こいつらが一番欲深くどうしようもない人間として、ブラックかつユーモラスに描かれている。
物語が進めば進むほど、全ての登場人物たちがどんどん狂っていき、鶏の羽をむしり、故郷の歌を歌い、遺書を書き始めるシーンは、ある意味映画史に残る地獄絵図のシーンと言えるだろう。
70年代のハチャメチャで狂っていた東映だから作れた極上の一本。ハッキリ言って『スピード』より面白い『狂った野獣』をぜひご覧いただきたい。
幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。
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