- コラム
GODZILLA 決戦機動増殖都市(ネタバレ注意)
2018/05/31
笹木恵一
すごいー! たーのしー!
2018/11/15
笹木恵一
ゴジラのアニメ映画版、通称アニゴジの最新作が現在絶賛公開中。公開当日から観た人の間で意見が真っ二つに分かれ、シリーズ最高とも最低とも言われている今作。ゴジラ最大のライバルと言われるキングギドラも登場し、怪獣に支配された2万年後の地球を舞台に、主人公達の最後の決戦がついに始まる!
※以下ネタバレを含みます。
前作でメカゴジラシティが陥落しゴジラに対し、にっちもさっちもいかなくなった主人公ハルオとその仲間たちだったが、生き残った者たちの間で何やら怪しい宗教が流行り始めた! それを先導しているのは、やたらスピリチュアルな種族エクシフ出身でハルオの親友のメトフィエスだった。メトフィエスは前回の戦いで生き残れた者は神に選ばれたのだと宣い、希望を失った連中にとってはそれが唯一の心のよりどころとなっていたのだ。しかし科学者のマーティン博士曰く、んなこたぁねぇ、助かった連中は地球に住む原住民フツアの皆さんから謎の治療を受けた人たちだよと。神秘の力なんかねぇよと。けど大多数がメトフィエスのカルト宗教にどっぷりな現状でそれを口にして村八分はごめんだと、ハルオにだけ打ち明ける。
メトフィエスはさらに大いなる思惑を抱いていた。なんとメトフィエスをはじめエクシフが地球にやってきたのには理由があった。エクシフの目的は、彼等が神とあがめる異次元からやってくる怪獣“ギドラ”を呼び寄せて地球をギドラの餌にすること! しかもエクシフの連中ときたら、それがみんなにとっていいことだと思って悪気が無いんだからたちが悪い! ハルオと仲良くなったフツアの少女ミアナは捕まって生贄みたいな感じに使われようとしている! そしてメトフィエスの導きで地球にやってくるギドラ! 本能的にギドラに立ち向かうゴジラだったが、このギドラは異次元からやってきた強みで、自分からの攻撃はできるが相手からは受け付けないという中二男子も泣いて逃げるチート性能! ギドラを倒すにはメトフィエスを倒すしかない! 果たしてハルオはメトフィエスとギドラを倒すことができるのか!?
そして人類とゴジラの決着の行方は誰が気にしているというのだろうか!?
前作から怪獣よりも人間同士のドラマを重視する傾向はあったが、最終章となる今作では、更にそれが推し進められ、怪獣はもはやキャラクターと言うよりもバックグラウンド、舞台装置としての機能しか果たさなくなっていく。ゴジラとギドラの対決も怪獣同士のプロレスというよりも、山と嵐のぶつかり合い。メインに描かれるのは主人公ハルオと、異文化種族の代表であるメトフィエスによる、イデオロギーのぶつかり合い、観念的な戦いなのだ。
これらがアクション重視で、ヒーローとしての怪獣を期待する層には全く受け入れられず、低評価を下す人も多い。しかし怪獣と言う巨大な存在を伴う閉鎖空間において社会が形成されていく実験的ストーリーに、怪獣の描き方として新たな可能性を見出した人々からは高い評価を得ているようだ。
個人的にはあえて売れ線となるエンタメ性を徹底的に廃し、あくまで特殊な状況下における人間の心理を描く文芸性に特化した作風を推し進めたところに制作陣の意気込みを感じるので評価したいところである。まさに骨のある映画と言っていいだろう。これは2016年には『シン・ゴジラ』で記録的ヒットを出し、来年にはハリウッドによる『キング・オブ・ザ・モンスターズ』がそれこそファンの求める人気怪獣による怪獣バトルとなるので、ヒットは間違いないという状況なので、その大きなヒットの間だったからこそ、こういった冒険ができたとも思えば、このタイミングを逃せば絶対にありえなかった作品、あり得なかった怪獣の描き方だと思うので、怪獣映画の歴史に刻まれるべき一本であることは間違いない。
ネット等での評価を見て迷っている方は、ぜひ一度ご覧になっていただきたい。あなたにとって良かれ悪かれ、今後二度と現れえない作品なのだから。
幼稚園時代からレンタルビデオ屋に足しげく通い、多くの映画や特撮、アニメ作品を新旧国内外問わず見まくる。
中学時代に007シリーズにはまり、映画の中で使用される銃に興味を持ちはじめる。
漫画家を目指すも断念した過去を持つ(笑)。
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